
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
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当記事で分かること
- 副鼻腔とは
- 頭痛の起こるメカニズムについて
- 検査・治療などについて
<Contents>
副鼻腔とは
副鼻腔はその名の通り、鼻腔より派生していきます。4種類の区域で分かれていて、骨と骨の間に存在する空洞です。年齢と共に広がっていき、空気で満たされていて鼻腔に粘液を流します。
- 蝶形骨洞:下垂体に近く、経蝶形骨洞手術(Hardy手術)で御馴染みの空洞です。
- 篩骨洞:中央左右に位置します。篩骨と読みます。
- 前頭洞:左右の眉毛の辺りに位置します。
- 上顎洞:左右の眼の下辺りに位置します。
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役割

鼻腔の役割は免疫・嗅覚・加湿などでした。副鼻腔は「空洞」で、鼻腔と似通った機能の他、以下などの特徴的な役割が考えられています。
- 骨軽量化:脳の発達と共に身体への負担軽減を目的として発達している。
- 濾過:空気を濾過・循環させることで、頭部の冷却を行う。
- 衝撃吸収:外力の衝撃に対して脳への波及を軽減している。
- 反響:声を反響させることで音程などを調節する。
特に鼻炎によって鼻閉などを起こすと、頭重感・鼻声などになるので、2・4は日常でも実感できますね。
副鼻腔炎・蓄膿症とは
副鼻腔炎は前述した「洞」に感染症やアレルギー反応などを起こして、炎症を生じた状態です。その炎症によって空気・分泌物の通り道が塞がってしまって「膿」が溜まると蓄膿症となります。
好発部位
下側の「洞」、篩骨洞と上顎洞に好発するとされます。
原因
1ヶ月以内に改善する副鼻腔炎で、多くはかぜ症候群などの急性上気道炎を発端にウイルス性に生じることが多く、場合によってはその後細菌感染に移行してきます。
主要な菌はインフルエンザ菌や肺炎球菌が多いとされます。
3ヶ月以上続いた場合は慢性化しており、細菌が疑われます。

症状
症状は何となく想像できますね!炎症・粘膜腫脹などで様々な症状を呈します。
- 疼痛(副鼻腔周囲)
- 鼻閉・鼻漏
- 嗅覚障害
- 頭痛・頭重感
合併症
眼・頭蓋内などに感染が波及すると、膿瘍などを合併してしまいます。場合によっては失明・死亡などに至ります。
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検査
- 鼻鏡・内視鏡検査
- 画像検査:レントゲン・CTなど
治療
<ネブライザー>
- 鼻処置:血管収縮剤などで鼻の腫脹を和らげて、薬剤・洗浄などの効果を高めます。
- 薬物療法:抗菌薬・ステロイド・局所血管収縮剤・解熱鎮痛剤などを用います。方法は経口薬・点鼻薬の他、ネブライザーと言う霧状にして吸入する方法などになります。
- 洗浄・排膿:副鼻腔を洗い流したり、吸引して膿を排出させたりする方法です。
- 内視鏡下鼻・副鼻腔手術(ESS:Endoscopic Sinus Surgery):気流の確保や粘膜の治療などを行います。

血管収縮剤とは
鼻閉などは炎症反応によって血管が拡張することで起こります。この血管を収縮させることで腫脹を和らげる薬剤です。止血困難な鼻出血でも用いられます。作用機序は、α1受容体を刺激して局所的に血管を収縮させる作用を持ちます。
但し、常習的に用いると薬効が落ち、組織の血流不足で鼻閉が悪化します。これを薬物性鼻炎と言います。市販の点鼻薬にもナファゾリン塩酸塩などの血管収縮剤が入っているので、添付文書などを読みましょう。

口呼吸の生体への影響とは

注意ポイント
- 歯並びが悪くなる
- 齲歯・歯肉炎・生活習慣病・口臭に繋がる
- 鼻呼吸の機能が働かなくなる
- 雑菌が繁殖して口臭が強くなる
歯並びが悪くなる
開口した状態だと歯に対しての周囲からの圧力の均衡が崩れ、頬の力で内側に押されます。また、開口による顎の成長も影響していると言われています。
齲歯・歯肉炎・生活習慣病・口臭に繋がる
唾液は自浄作用を持ち、歯の再石灰化を助けてくれます。開口したまま呼吸をしていると、特に睡眠中は口腔内が渇いて虫歯などの危険性が高まります。
また、乾燥すると雑菌が繁殖して口臭が強くなってしまいます。虫歯・歯肉炎などは生活習慣病とも関りが深く、心筋梗塞・脳卒中などのリスクを上げます。
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鼻呼吸の機能が働かなくなる
鼻で呼吸する際の嗅覚・加湿・加温・異物除去などの機能が働かず、特に乾燥した外気をウイルス・細菌などと一緒に吸い込むことで、気道にダメージを与え、感染の可能性も高まるとも報告されています。
口呼吸の改善・予防策とは
ポイント
覚醒しているときは意識的に閉口して鼻呼吸を行いましょう。そもそも慢性的に鼻炎などで口呼吸になっている場合は、耳鼻咽喉科に受診した方が良いと思います。
歯並びなどが原因の場合は歯科医に相談しましょう。また、筋肉の衰えが原因の場合は口腔周りの口輪筋トレーニングやキシリトールガムきを食後に噛むことも推奨されています。
今回は「副鼻腔炎・蓄膿症」について解説しました。
まとめ
- 副鼻腔は「4」箇所の空洞で構成され、炎症は下側2箇所が多いです。
- 急性期では風邪などのウイルス性が多く、持続した場合は細菌に移行している可能性があります。
- 頭重感や疼痛の他、嗅覚・呼吸などに影響が出ます。
- 治療には薬物療法・内視鏡手術などがあります。
- なるべく鼻で呼吸しよう!
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