
今回は、こんな声に応えていきます。
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 腹痛の機序とは
- 腹痛の対応について
<Contents>
腹痛の機序と原因について
主な種類としては、以下の4分類になります。
- 内臓痛
- 体性痛
- 関連痛
- 心因性
各分類を見ていきましょう!
内臓痛
字の通り、臓器・臓側腹膜(腹部臓器を覆う膜)の拡張や収縮などによって生じます。主に交感神経などの自律神経経由で脊髄・大脳皮質に伝わって生じます。多くは鈍痛で、明確な疼痛部位は分からないです。

体性痛
内臓痛とは違って、明確な疼痛部位が分かります。筋肉痛・関節痛なども含まれます。腹痛の場合は腹膜刺激症状と言って、壁側腹膜(腹壁内面の膜)などに分布している感覚神経(≒知覚神経)が刺激を受けることで生じます。
刺激の種類は機械的刺激・炎症・消化液など様々です。腹部の伸展や筋肉の過緊張などで疼痛が増強するので、体位を調整したり、リラックスして貰いましょう。

関連痛
別の知覚神経線維に影響して起こる疼痛です。この中でも、例えば心筋梗塞で歯痛・左上肢痛などの離れた場所に生じる疼痛は放散痛と呼びます。
心因性
緊張で腹痛などを来す人が代表的ですね!ストレス性なので、大脳皮質に影響して起こります。
内臓痛・体性痛・関連痛の対応について
腹痛の原因は様々です。消化器系の疾患とも限らないので、現病歴や既往歴なども含めて、原因として可能性の高い項目からアセスメントします。
観察・看護
観察
- バイタルサイン
- 初発・再発・切っ掛け
- 慢性・急性
- 疼痛部位・程度・性質
- 排便状況
- 随伴症状
例えば食後に痛む場合は「胃潰瘍」、空腹時に痛む場合は「十二指腸潰瘍(胃潰瘍)」、腹膜刺激症状を呈す場合は「腹膜炎」を疑うと言った具合です。放散痛で無ければ各臓器の近位が痛むことが多いので、臓器の位置を把握しておきましょう。
看護
- 処置・検査準備
- 随伴症状の対応
- 体位調整
- タッチング
- 温罨法(慢性・冷え)
- その他:SBARで報告など
検査
必要に応じて、検査・治療を行います。
- 採血・レントゲン・エコー・心電図など
- CT・MRI・内視鏡・造影・腹腔鏡・膀胱鏡など
薬剤
鎮痛薬による除痛や、消化管運動が亢進している内臓痛などは鎮痙薬を主に用います。鎮痙薬ではブチルスコポラミン(ブスコパン®)が代表的です。
*抗コリン薬なので、緑内障では禁忌です。前立腺肥大症でも慎重投与になっています。
腹痛の原因を特定してから選択しましょう。
今回は「腹痛」について解説しました。
まとめ
- 腹痛の原因は4種類です
- 原因によって治療方針も変わります
- 腹膜刺激症状は押さえよう
- 臓器の位置も覚えよう
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