
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
-
-
【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 全身性強皮症とは
- 特徴的な症状について
- 検査・治療など
<Contents>
全身性強皮症(SSc)とは
SSc:Systemic Sclerosisは、原因不明の自己免疫疾患で、皮膚・臓器・血管などに炎症や繊維化が起き、硬化・臓器障害などを引き起こします。
詳しい罹患者数は不明ですが、1~2万人程度と推定されています。分類は以下の2種類になります。
- びまん型:体幹などにも硬貨が及ぶ典型症例です
- 限局型:肘関節より末梢に限局して比較的軽症で進行も緩徐です
好発
- 女性(30~60歳)
症状
様々な症状を呈しますが、代表的な症状を以下に示します。
特徴的な症状とは
- 仮面様顔貌:皮膚が硬くなることで表情に乏しくなります
- 皮膚硬化:初期には指がソーセージ様に浮腫みます
- レイノー現象:下記参照
- その他:舌小帯短縮・関節症状・心膜炎など

レイノー現象
寒冷・ストレスなどによって交感神経に興奮を起こすと、血管が収縮して末梢血流障害を来して皮膚が変色します。振動・薬剤などで生じる原発性と、膠原病などで起こる二次性に分かれます。
全身性強皮症では、100%近くが呈すと報告されています。
臓器障害
- 間質性肺炎・肺線維症:肺胞が繊維化・肥厚して息が吸い難く拡散障害を来す拘束性換気障害を起こします
- 逆流性食道炎(GERD)
- 強皮症腎クリーゼ
クリーゼとは
Crisisに由来し、「危機」と言う意味です。簡単に言うと臓器などが悲鳴を挙げていて生命に関わる状態です。腎臓以外でも甲状腺や副腎など様々なところで使われます。
検査
検査
- 抗核抗体
- 合併症検査:消化器・呼吸器・腎機能など
*抗核抗体とは様々な種類の自己抗体のことです。
治療
難病で完治する方法は確立していないので、主に対症療法を行っていきます。
- 生活指導:寒冷対策・禁煙など
- レイノー現象:血管拡張薬など
- 皮膚硬化:副腎皮質ステロイド(*腎クリーゼ誘発リスク有り)
- 間質性肺炎・肺線維症:免疫抑制薬など
- 逆流性食道炎:食事療法など
- 腎クリーゼ:高血圧治療(ACE阻害薬)
- リハビリテーション
今回は「全身性強皮症」について解説しました。
まとめ
- 自己免疫疾患で女性(30~60歳)に多いです
- 仮面様顔貌・皮膚硬化・レイノー現象などが特徴的です
- 肺・消化器・腎臓などの臓器障害も起こします
- 抗核抗体や合併症に関連した検査を行います
- 治療は生活指導や血管拡張薬などです
- その他合併症に応じて行っていきます
参考Web
- 全身性強皮症診療ガイドライン
最新記事