
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 破傷風とは
- ワクチンについて
- 特徴・治療などについて
<Contents>
破傷風(tetanus)とは
破傷風(tetanus)は5類感染症で、土壌に生息するクロストリジウム属の「Clostridium tetani」(破傷風菌)によって神経が麻痺してしまう疾患です。クロストリジウム属は酸素を嫌う嫌気性菌で、芽胞を持っていて消毒・加熱などに耐性を持っています。詳しくは以下の記事を参考にしてください!
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グラム陽性菌(MRSA・溶連菌など)の種類・特徴・抗菌薬などについて<看護・医療国家試験>
歴史
ワクチンは生体を守る為に必要な獲得免疫です。30-40年程度前は、不衛生な出産場面により世界中で多くの新生児が死亡したと報告されています。
現在の日本での報告数は、年間100例程度と報告されています。ワクチンの普及によって死亡数は「昭和中期」が年間1,000例程度でしたが、現在は数例程度にまで減ってきています。
感染経路
土壌など、汚染された場所から傷に侵入して、血行性・リンパ行性に神経に移動して毒素で悪さをします。土壌や錆びた釘などが存在する場所で作業を行う場合には気を付けたいところです。
潜伏期間は10日前後で、短期間で発症すると重症化し易くなると報告されています。
注意(例)
- 土壌作業
- 廃屋作業
症状
神経を侵すことで、強直性痙攣・呼吸筋麻痺などを起こします。初期には顔面周囲の神経を侵すことで、開口障害・痙笑(引き攣った笑いのこと)などを起こします。初期の開口障害を牙関緊急と言います。
画像の「後弓反張」と呼ばれる弓なりに反ってしまう体位も特徴的で、激痛を伴うとされます。これらの症状は環境因子によって誘発されるので、光・音・振動などの刺激を最小限にして暗室・音量などに気を遣います。
注意ポイント
- 環境調整
- 呼吸・循環管理
- 神経症状など
治療
土壌汚染の他、犬などによって負った咬傷など、創部が汚れている場合は洗浄を行います。感染巣を清浄化して壊死組織を除去する処置をデブリドマンと言います。その他、必要に応じた循環・呼吸管理などを行っていきます。
薬剤治療では、毒素に対して抗破傷風人免疫グロブリン(TIG:tetanus immune globulin)を投与し、菌に対しては抗菌薬を用います。また、追加接種が必要な場合は破傷風トキソイド(ワクチン:次項参照)を投与します。
ポイント
- 抗破傷風人免疫グロブリン
- 抗菌薬:ペニシリンGなど
- 破傷風トキソイド

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Ig・免疫グロブリンとは?白血球・種類・覚え方など<看護・医療国家試験>
破傷風菌ワクチンについて
ワクチンは「トキソイド」と呼ばれる不活化ワクチンの一種です。子どもでは定期接種(計5回)に組み込まれていて、DPT-IPVの「T」の部分に相当します。ワクチンの詳細は以下の記事を参考にしてください!
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【ワクチン】接種方法は?効果・種類・副反応なども解説します<看護・医療>
注意ポイント
1968年以前に出生された方は、定期予防接種を行っていないので注意が必要です。

ポイント
子どもで接種していても、抗体価と呼ばれる抗体の強さは経時的に減少していきます。職場環境なども加味して、リスクの高い人は10年毎の追加接種が推奨されています。この追加接種をブースター接種とも言います。
今回は「破傷風」について解説しました。
まとめ
- 現在はワクチンによって減少を辿っています
- 1968年以前の出生者はワクチン接種が推奨されます
- その他、特に土壌汚染などの危険性が高い場合は10年に1回の接種が推奨されています
- 神経に異常を来すので、呼吸障害や痙攣(神経症状)などに注意します
- 治療は全身管理と共に毒素の中和や菌の撃退などを行います
参考Web
<国立感染症研究所>
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