

今回は、こんな悩みに応えていきます。
ドラマなどでチラッと見るけど、実際に見るのとは違いますよね。私は10年以上、集中治療室で働いていましたが、家族に生体モニターの意味を聴かれることは、とても多かったです。
学生でも、初めて心臓の病棟や集中治療室に行くと、リアルタイムでモニタリングをしているのに不安を覚えるでしょう。一般病棟では、血圧計や体温計などを持って測りに行きますからね。学生は、ここでモニターの苦手意識を克服したり、事前に情報を得て、少しでも有利に実習を臨みましょう!一般の方も、大切な人の状態を少しでも理解していきましょう^^
当記事で分かること
- 簡易モニターの種類とは?
- モニターを見ていく具体的な手順とは
- 他にも色々なモニター!
<Contents>
モニタの種類・数値

最初に紹介した画像も一種のモニターです。モニタの種類はとても多く、一般的にメジャーなのは、やはりドラマなどでよく見掛けるモニターだと思います。
ドラマのモニターは、数値や波形が固定されていて違和感Maxですけどね(笑
ベッドサイドモニター
画像はPhilips(フィリップス)社のモニタですね。多くの集中治療室で使われていると思います。以下に示された数値は、集中治療室としては少ないです。ちなみに、このタイプのモニターは検査の時は取り外して持ち運べます。
設定で色は変更できますが、多くは、緑:心拍数、青(黄):SpO2、白:呼吸、紫:非観血的血圧、赤:観血的血圧(動脈圧/波形付)が多いと思います。
他にも、追加モジュールなどで体温、肺動脈圧、肺動脈楔入圧、中心静脈圧、腹腔内圧、カプノグラフィーなど様々な要素を追加できます。

携帯式心電図モニター

心臓の一般病棟などでは、上記の高性能な機械は不要です。ただ、心電図のモニタリングが必要な場合、患者も自立している人が多く、そう言った場合に使われるのが、フクダ電子などの携帯式心電図モニターです。スタッフステーションにデータを飛ばしてくれます。SpO2なども付属品で測れます。
出典:フクダ電子
数値の意味とは
数値
では、それぞれの数値はどう言う意味を持つのでしょう?まずは一般の方向けに説明していきます。合併症などを持っていない健康な成人を基準にします。疾患などによって変動しますので、ご注意ください。

心拍数
121(回/分)
緑の数値は、波形で分かる方も多いと思います。心拍数ですね。心臓の動きを表しており、健康な成人だと1分間に80回程度です。画像では回数が多く、脈が多くなった「頻脈」の状態ですね。
経皮的酸素飽和度
100(%)
青の数値は、「経皮的酸素飽和度」と言って「SpO2」、「サチュレーション」などと称されている値です。酸素が血液中に、どの程度溶け込んでいるのかを表します。
喫煙者や加齢などで下がる傾向ですが、正常は「酸素無し」で98%程度だと思ってください。90%付近は危険区域になってきます。
呼吸数
20(回/分)
白の数値は、1分間の呼吸の回数です。健康時は1分間に15回前後ですが、運動などで増加します。安静時の呼吸数が30回を超えてくると、何かしら生体で起きている可能性が考えられます。
血圧
82/46(mmHg)
紫の数値は、血圧の値になります。収縮期血圧/拡張期血圧で、( )内が平均血圧(54)です。一般的には140/90mmHgを越えると、高血圧としては危険な区域になってきます。
急性期(急激に発症した)脳梗塞など、血流を保ちたい場合は高めに、出血や動脈瘤などの場合は低めに保つ傾向です。数値の右側に並んでいるのは、経時的に測定した「履歴」です。時間で設定し、自動で測ってくれるのです。
動脈に管を入れて、リアルタイムで測定している血圧は「赤字」になっていると思います。数値が常に変動し、横に「波形」も出ています。
モニター対応について
ポイント5選
もう少し突っ込んで説明していきます。モニターを目の前にしたときに何を見るか?順に見ていきましょう。
- 患者
- 数値
- 波形
- 環境(臨床)
患者
これは当然でしょうが、一応載せています。患者のバイタルサイン、フィジカルアセスメント(視診、聴診、触診、問診など)を行うことで数値だけでは把握できない情報を掴みます。
数値が「異常」でも、その人にとっては「正常」の場合も考えられます。例えば、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者のSpO2が90%だからと、安易に酸素投与を行うと、CO2ナルコーシスを起こすかもしれません。
また、疾患によっては「正常」な値でも「異常」に成り得るのです。先程の脳梗塞の例で、収縮期血圧が190mmHgより120mmHgまで急に下降したとすると、「適正値だ!下がって良かった!」にはなりません。「ん?梗塞巣が拡大する・・・原因は何だ?!」が正解です。
数値
先程、軽く解説した通りです。通常の正常値を把握し、個性や疾患に合わせた適正値を考えます。医師の指示も確認しましょう。ここは、「患者」のところで織り交ぜて解説したので、割愛します。
波形
数値と一緒に波形を確認するのは、とても重要です。
ポイント
- 心電図
- SpO2
- 呼吸
- 観血的血圧(動脈圧波形)
心電図
心電図では、P波、QRS波、T波、PQ間隔、RR間隔など、学生のうちでも確認するところは多いです。また、患者の体動や心電図の貼り方などによって、間違ったアラームやノイズが出ることも多く、その辺りの確認も必要です。
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SpO2
こちらも装着が適切にされていないと、誤った数値が出たりと、正しく表示されません。また、手足が冷たかったり、末梢循環不全などを呈している場合は、波形が出ずに数値を拾えないことが多いです。
呼吸
呼吸の波形は心電図より拾っています。人工呼吸器の場合は回路から直接拾っています。同様に体動や貼り方などを見るのと、呼吸様式によって波形も変わってきます。
血圧
ここは学生としては難しめなので、参考までに。
動脈の立ち上がりは1回拍出量を反映します。大動脈弁閉鎖のタイミングで拡張期に移行しますが、血管抵抗が下がると「切痕(Dicrotic notch)」は消失します。モニターのレンジ(血圧幅)設定が不適切でも、波形は変化します。

- 左側:圧切痕消失(血管抵抗Down:血管拡張【敗血症】など)
- 中央:先鋭化【Under Damping-Over Shoot】(レンジ設定・1回拍出量減少【脱水】など)
- 右側:平坦化【Over Damping】(レンジ設定・気泡混入・刺入部屈曲・加圧バッグの空気漏れ・駆出速度低下【大動脈弁狭窄症】など)
- 他:大動脈弁閉鎖不全症などは脈圧の増大(収縮期圧上昇・拡張期圧低下)となります。不整脈や呼吸性変動(奇脈・脱水など)では、前回の収縮期圧と差が生じ、波打つ形となります。
環境
ポイント
数値を見たときに、異常と判断した場合は環境も確認しましょう。数値が完全に出ない場合は、コードなどの異常かもしれません。
例
- 熱が上がっていて寒気を訴えている場合、空調や布団が整っているか?
- 心電図が乱れている場合、電気毛布などによるノイズでは無いか?
- 血圧で数値が変な場合、きちんと巻けているか?
- 動脈波形が変化した時、加圧バッグや基準値(0点)の異常は無いか?
- 動脈波形やSpO2波形が測れなくなった際に、同じ側を血圧計で測定していないか?など
アラーム
注意ポイント
学生がアラームを変えることは無いと思いますが、看護師になった際には意識しましょう。
無暗にアラームをOffにすると、状態が悪くなった際に気付けません。これは稀に見掛け、死亡事故にも繋がります。状況にもよりますが、気を付けましょう。
また、アラームの範囲が不適切だと、アラームに慣れてしまって対応に遅れる原因になったり、無意味なアラームを消すと言う雑務が増えます。更には患者自身や家族も音量により不快感を得たり、驚きます。特に夜間は、睡眠の妨げにもなります。
患者の状態はリアルタイムで変化します。病院によって看護師任せだったり、医師の指示だったりと違うでしょうが、アラームの設定もリアルタイムに変更した方が良いでしょう。
その他のモニターについて
日々開発されているので、モニターの種類は数え切れません。物によっては、同じ枠の中でも数十種類存在します。病棟で使用するメジャーなモニターを載せておきます。
セントラルモニター
スタッフステーションで一括管理できるタイプです。全患者のモニタリングやアラームの設定、波形の出力、血圧測定の開始などを操作できます。集中治療室にはよく置いています。
EV1000・ビジレオモニター(フロートラックセンサー)
出典:Edwards
今やドラマなどでもよく見掛けるモニターですね。画像の通り、様々なパラメーターが測定できます。
ヘモスフィア・ビジランスモニター
出典:Edwards
スワン・ガンツカテーテルのモニタリングを目的としたモニターです。ヘモスフィアはフロートラックの機能も兼ね備える高性能モニターです。急性期の循環器科に実習に行く場合は、使っているかもしれません。
INVOS
出典:コヴィディエンジャパン株式会社
脳や骨格筋の酸素を測るモニターです。脳卒中領域でよく使います。
