
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 特発性血小板減少性紫斑病とは
- 血栓性血小板減少性紫斑病とは
<Contents>
紫斑病とは
紫斑病は、紫色の点状出血が身体の各所に生じます。後述する紫斑病以外に、播種性血管内凝固症候群や血友病などの血小板・凝固因子障害などでも起きます。
今回は共に難病指定されている以下の2種類を解説していきます。血小板減少を伴いますが、病態は異なってくるので確認していきましょう!
- 特発性血小板減少性紫斑病
- 血栓性血小板減少性紫斑病
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは
ITP(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura)はⅡ型アレルギーの関与によって、血小板に対して自己抗体が産生されます。それによって脾臓などで血小板が破壊されて血小板減少を起こし、一次止血機能の障害による出血傾向を来します。以下の分類に分けられます。
- 急性型:小児に多く、ウイルス感染後の急激な発症と半年以内の治癒を特徴とします。
- 慢性型:成人女性に多く、緩徐な進行と寛解・再発を特徴とします。

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症状・検査・治療
症状
- 出血
検査
- 血小板関連免疫グロブリンG増加(PAIgG:Platelet Associated IgG):血小板に対する自己抗体です。
- 出血時間延長:一次止血機能ではAPTT・PTの検査では無く、血液が止まるまでの出血時間を確認します。
- 骨髄所見:血小板減少に対して、骨髄細胞の巨核球が増加(又は正常)します。
治療
- ヘリコバクターピロリ菌除菌:抗原が血小板と似ていることで、誤って血小板にも攻撃してしまう可能性が示唆されています。除菌により半数以上が血小板の改善を示しています。
- 副腎皮質ステロイド:免疫抑制により抗体産生・破壊を抑制します。
- 脾臓摘出術:ステロイドの作用が著効しない場合は検討しますが、感染症・ワクチンなどに注意します。
- トロンボポエチン受容体作動薬:血小板に成熟する前の巨核球を増やす薬剤です。
- γ-グロブリン大量療法(IVIG:Intravenous Immunoglobulin):血小板の身代わりにすることで、血小板破壊を抑制させます。
- 血小板輸血:補充療法です。
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血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)とは
TTP(thrombotic thrombocytopenic purpura)はvon Willebrand因子(以下vWF)切断酵素(ADAMTS13)の活性低下により生じるとされます。それによって血小板が凝集し易くなり、血栓症や血小板減少を起こすとされます。
また、赤血球破砕症候群として血栓に赤血球が衝突することで溶血性貧血も起こします。先天性は稀で、後天性の切っ掛けとして妊娠・膠原病・造血幹細胞移植などが挙げられ、若干ですが成人女性に多いとされます。

vWF
ざっくり言うと、一次止血の際にvWFの大きさに応じて血小板を凝集させる「糊
症状・検査・治療
症状
5徴候が代表的で、血栓症に伴う症状が主です。
- 血小板減少:出血傾向・紫斑などを起こします。
- 溶血性貧血:血栓による物理的刺激で赤血球が壊れます。
- 腎機能障害:腎血管が血栓で障害されます。
- 精神神経症状:脳血管障害などを起こします。
- 発熱
検査
- ADAMTS13活性測定
- 自己抗体検査
- 5徴候:血小板・赤血球・腎機能など
治療
- 血漿交換療法:第一選択で、切断酵素の活性を弱める物質を機械で血漿分離して取り除きつつ、新鮮凍結血漿を補充します。
- 副腎皮質ステロイド:抗体抑制
- その他:抗血小板療法(凝集抑制)・免疫抑制剤(切断酵素阻害物質抑制)など
*血小板輸血は凝集を促して血栓症を助長させるので、低値でも原則禁忌となります。
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今回は「紫斑病」について解説しました。
まとめ
- 紫斑病は血小板や凝固因子異常を呈す疾患で主に起こります
- 特発性はⅡ型アレルギーによる抗原抗体反応で破壊されます
- 特発性はヘリコバクターピロリ菌が特徴的です
- 血栓性はvWF切断酵素(ADAMTS13)の活性低下によって血栓症を呈します
- 血栓性は血漿交換が第一選択です
参考・引用文献(Web)
- 血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP)診療ガイド 2020
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