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【尿路感染症】膀胱炎・腎盂腎炎の原因や症状などについて解説します<看護・医療国家試験>

2020年11月21日

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

尿路感染って?何に気を付けよう?

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>


当記事で分かること

  • 尿路感染症とは
  • 膀胱炎について
  • 腎盂腎炎について

尿路感染症とは

尿路感染症

注意ポイント

女性は尿路感染し易いので、特に注意しましょう!

分類

尿路感染症は大別して以下の2種類になります。男性で生じる尿道炎も広義の尿路感染症ですが、性感染症として扱われるので今回は割愛します。

  • 膀胱炎
  • 腎盂腎炎

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更に基礎疾患の有無で以下に分類されます。

  • 有:複雑性尿路感染症
  • 無:単純性尿路感染症

原因

主に大腸菌が半数以上を占め、尿路より侵入する上行感染が原因となります。その他の緑膿菌などが原因になる場合もあります。

大腸菌とは

大腸菌(Escherichia coli)は、その名の通り大腸に存在する腸内常在菌で、グラム陰性桿菌です。

普段は消化吸収などで良い影響を与えてくれますが、他の組織などに侵入すると感染症を呈します。また、消化管に悪影響を及ぼす病原性を持った大腸菌も存在します。

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尿路感染症の症状と治療について

注意ポイント

上行感染(膀胱炎)が増悪すると腎盂腎炎に至ります。

症状

主な症状は以下の通りです。

  • 無症状
  • 排尿痛
  • 頻尿
  • 尿混濁(浮遊物)

  • 発熱
  • 側腹部痛・腰背部(CVA叩打こうだ痛:手掌を置いて軽く叩く)

*肋骨脊柱角(CVA:Costovertebral Angle)

膀胱炎の段階では排尿痛や尿混濁などを呈しますが、更に上行して腎盂腎炎となると、発熱や腹背部痛などを呈します。

CVA叩打痛について

好発

尿道自体の距離が短いのと、更に肛門や膣にも近い女性に多いです。

検査・治療

検査

白血球数などが上昇したり、培養検査や尿沈査などで細菌を認めます。尿沈渣とは、顕微鏡で細胞や細菌を調べる検査です。

  • 超音波検査
  • 腹部単純レントゲン(KUB:Kidney Ureter Bladder):腎臓・尿管・膀胱が入る位置で撮影します。
  • 静脈性腎盂造影(IVP:Intravenous Pyelography):腎臓に「影を造る」検査で、臓器や尿路などに何が起きているか診断します。点滴静注腎盂造影(DIP:Drip Infusion Pyelography)とも言います。
  • 腎部CT:腎盂腎炎の場合は上記の検査などを検討します。

膿は白血球(好中球など)が敵を貪食した残骸です。

治療

  • 水分摂取(排尿):粘膜自体にバリア機能が備わっています。更に排尿によって膀胱や尿道は洗浄されます。これを自浄作用と言って、細菌の定着を防ぎます。粘膜が傷付いたり、排尿を我慢したりすると感染の危険性が高まります。
  • 抗菌薬

*また、入院患者では膀胱留置カテーテルの長期的な存在も感染率を上げるので、早期抜去を目指します。

尿路感染

唾液による自浄作用も有名です。特に絶食患者などでは、歯磨きが感染予防にもなります。

今回は「尿路感染症」について解説しました。

まとめ

  • 膀胱炎と腎盂腎炎を押さえよう!
  • 基礎疾患を持つ複雑性尿路感染症は重症化し易いです
  • 原因は大腸菌が多く、単純性では女性に多いです
  • 尿混濁・排尿痛などを呈します
  • カテーテルによる院内感染で頻繁に見られます
  • カテーテルの早期抜去や飲水などを心掛けます

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