
今回は、こんな声に応えていきます。
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当記事で分かること
- 尿路感染症とは
- 膀胱炎について
- 腎盂腎炎について
<Contents>
尿路感染症とは
注意ポイント
女性は尿路感染し易いので、特に注意しましょう!
分類
尿路感染症は大別して以下の2種類になります。男性で生じる尿道炎も広義の尿路感染症ですが、性感染症として扱われるので今回は割愛します。
- 膀胱炎
- 腎盂腎炎
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更に基礎疾患の有無で以下に分類されます。
- 有:複雑性尿路感染症
- 無:単純性尿路感染症
原因
主に大腸菌が半数以上を占め、尿路より侵入する上行感染が原因となります。その他の緑膿菌などが原因になる場合もあります。
大腸菌とは
大腸菌(Escherichia coli)は、その名の通り大腸に存在する腸内常在菌で、グラム陰性桿菌です。
普段は消化吸収などで良い影響を与えてくれますが、他の組織などに侵入すると感染症を呈します。また、消化管に悪影響を及ぼす病原性を持った大腸菌も存在します。
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尿路感染症の症状と治療について
注意ポイント
上行感染(膀胱炎)が増悪すると腎盂腎炎に至ります。
症状
主な症状は以下の通りです。
- 無症状
- 排尿痛
- 頻尿
- 尿混濁(浮遊物)
- 発熱
- 側腹部痛・腰背部(CVA叩打痛:手掌を置いて軽く叩く)
*肋骨脊柱角(CVA:Costovertebral Angle)
膀胱炎の段階では排尿痛や尿混濁などを呈しますが、更に上行して腎盂腎炎となると、発熱や腹背部痛などを呈します。
好発
尿道自体の距離が短いのと、更に肛門や膣にも近い女性に多いです。
検査・治療
検査
白血球数などが上昇したり、培養検査や尿沈査などで細菌を認めます。尿沈渣とは、顕微鏡で細胞や細菌を調べる検査です。
- 超音波検査
- 腹部単純レントゲン(KUB:Kidney Ureter Bladder):腎臓・尿管・膀胱が入る位置で撮影します。
- 静脈性腎盂造影(IVP:Intravenous Pyelography):腎臓に「影を造る」検査で、臓器や尿路などに何が起きているか診断します。点滴静注腎盂造影(DIP:Drip Infusion Pyelography)とも言います。
- 腎部CT:腎盂腎炎の場合は上記の検査などを検討します。

治療
- 水分摂取(排尿):粘膜自体にバリア機能が備わっています。更に排尿によって膀胱や尿道は洗浄されます。これを自浄作用と言って、細菌の定着を防ぎます。粘膜が傷付いたり、排尿を我慢したりすると感染の危険性が高まります。
- 抗菌薬
*また、入院患者では膀胱留置カテーテルの長期的な存在も感染率を上げるので、早期抜去を目指します。


今回は「尿路感染症」について解説しました。
まとめ
- 膀胱炎と腎盂腎炎を押さえよう!
- 基礎疾患を持つ複雑性尿路感染症は重症化し易いです
- 原因は大腸菌が多く、単純性では女性に多いです
- 尿混濁・排尿痛などを呈します
- カテーテルによる院内感染で頻繁に見られます
- カテーテルの早期抜去や飲水などを心掛けます
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