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【ABCDEK】ビタミンの効果とは?脂溶性・水溶性の違いと働きについて解説します

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

ビタミンの作用って?

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

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当記事で分かること

  • ビタミンとは
  • 脂溶性・水溶性ビタミンについて
  • 種類・効能など
  • 過剰・不足すると?
  • 食物について

ビタミンとは

ビタミンは「三大栄養素」の炭水化物・蛋白質・脂質に加えて、+ビタミン・ミネラルで「五大栄養素」と呼ばれます。

三大栄養素が身体を作る「素材」だとすると、ビタミンは身体を作る為の「道具」だと思うと何となく分かると思います。不足することで欠乏症が、脂溶性ビタミンでは過剰になると過剰症が出現します。

栄養素の多くは肝臓で処理されるので、レバーには鉄分やビタミンなどの栄養が豊富です。

今回は臨床・病態などで重要な点を解説していきます。

2種類の水溶性ビタミンとは

水溶性ビタミンはB群・Cだけです。脂溶性ビタミンの覚え方も後述しますが、どちらか覚えると消去法で全て覚えられます。B群は「群」が付くので、様々なサブタイプが存在して覚えるのが結構大変です。

ポイント

水に溶け易く、尿中に排泄されてて過剰症を起こす危険性が少ないとされます。欠乏症だけ覚えていきましょう!水溶性なのでスープなど、溶け出してもそのまま摂取可能な調理法が推奨されています。

種類

  • ビタミンB₁(チアミン)
  • ビタミンB₂(リボフラビン)
  • ビタミンB₃(ナイアシン)
  • ビタミンB₅(パントテン酸)
  • ビタミンB₆(ピリドキシン)
  • ビタミンB₇(ビオチン)
  • ビタミンB₉(葉酸)
  • ビタミンB₁₂(コバラミン)
  • ビタミンC

ビタミンB₁(チアミン)

解糖系・クエン酸回路・電子伝達系

解糖系でピルビン酸をエネルギーに変換する際に必要となります。このビタミンが不足すると嫌気性代謝になって乳酸に変換されて乳酸アシドーシスを起こします。高カロリー輸液でビタミンが投与されていない場合に起こるので、注意しましょう!

糖質の摂り過ぎで消費されてしまいます。アルコールの分解にも関わるので、ウェルニッケ脳症はアルコール常飲者に多いです。脳・神経の傷害に関わります。

代表合併症

  • 脚気(末梢神経障害)
  • ウェルニッケ脳症(中枢神経障害)

食品(例)

  • 豚肉
  • 玄米
  • 大豆




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ビタミンB₂(リボフラビン)

三大栄養素の代謝に関わるビタミンです。皮膚にも関係が強いです。脂質抗酸化作用によって生体の酸化を防いでくれます。熱料理に強いとされます。

代表合併症

  • 口内炎
  • 口角炎
  • その他:肌荒れなど

食品(例)

  • 豚肉(レバー)
  • 魚介類
  • その他:動物性食品




ビタミンB₃(ナイアシン)

ナイアシンもアルコールの分解で消費されます。ナイアシンは必須アミノ酸の一つであるトリプトファンからも合成されます。トリプトファンはセロトニンやメラトニンでも使われます。

代表合併症

  • ペラグラ(皮膚炎・下痢など)

食品(例)

  • タラコ
  • カツオ
  • 鶏・豚など
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ビタミンB₅(パントテン酸)

パントテン酸は欠乏することは少ないビタミンです。CoA(コエンザイムA)の原料となり、色々な酵素の働きを助け、三大栄養素の代謝に関わる重要な物質です。

代表合併症

  • 神経障害など

食品(例)

  • レバー

ビタミンB₆(ピリドキシン)

欠乏症は稀で、主にアミノ基の代謝に関わっています。ホルモン産生などにも関わります。

代表合併症

  • 口角炎など

食品(例)

  • カツオ
  • サンマ
  • バナナ

ビタミンB₇(ビオチン)

脂肪酸やアミノ酸の代謝に関わります。欠乏は稀です。

代表合併症

  • 皮膚炎など

食品(例)

  • 牛肉(レバー)
  • 大豆
  • 鶏卵

ビタミンB₉(葉酸

核酸(DNAやRNA)の合成や細胞分裂などに関与しています。特に有名なのは胃切除術後の悪性貧血(巨赤芽球性貧血)です。その他、消化器障害などが起こります。

産婦人科学会のガイドラインでは、妊娠前より摂取することで神経管閉鎖障害と呼ばれる脳・脊柱の障害リスクを低減し、胎児形成に良いとされています。

代表合併症

  • 巨赤芽球性貧血
  • 舌炎

食品(例)

  • 葉物
  • 枝豆




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ビタミンB₁₂(コバラミン)

核酸(DNA・RNA)の合成に関わり、葉酸と共に貧血に関わります。特に胃切除術後などが原因となります。神経にも関わってきます。

代表合併症

  • 巨赤芽球性貧血
  • 舌炎
  • 神経障害

食品(例)

  • レバー
  • 貝類(アサリなど)
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ビタミンC(アスコルビン酸)

ビタミンCは抗酸化作用で生体の酸化を防いでくれます。欠乏では壊血病を引き起こします。コラーゲンの合成に関わるので、毛細血管が脆弱化して出血を起こします。

代表合併症

  • 壊血病

食品(例)

  • 赤ピーマン
  • 柿・グレープフルーツ
  • ブロッコリー

4種類の脂溶性ビタミンについて

脂溶性ビタミンは、その名の通り油に溶けます。4種類存在し、A・D・E・Kです。覚え方としては脂溶性ビタミンはコレ「DAKE」と覚えると楽です!

ポイント

水溶性ビタミンと違って肝臓に蓄積するので、欠乏症に加えて過剰症を起こします。

種類

  • ビタミンA
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • ビタミンK


ビタミンA(レチノール)

ビタミンAと言えば夜盲症です。眼で光を感じる部分に、ロドプシンに変換されて機能します。不足することで暗順応が低下して暗い場所での視覚が悪くなります。

上皮組織の分化・増殖などにも関与しています。β-カロテンなどはビタミンAに変換されるので、プロビタミンAとも呼ばれます。

代表合併症

  • 夜盲症

食品(例)

  • レバー
  • 人参・ウナギ


ビタミンD(カルシフェロール)

骨形成に関わることで有名なビタミンです。肝臓と腎臓で活性化された後に小腸でのカルシウムとリンの吸収を助けます。紫外線でも合成されます。

ビタミンDが不足するとカルシウムの欠乏が起こります。小児ではくる病が起こり、成人では骨軟化症が起こります。骨粗鬆症の原因にもなります。

代表合併症

  • くる病(小児)
  • 骨軟化症(成人)

食品(例)

  • キクラゲ
  • サケ・サンマ
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ビタミンE(トコフェロール)

ビタミンEは抗酸化作用で有名です。生体に存在する物質が酸化されるのを防ぎ、老化・肌荒れなどを防いでくれます。脂溶性ビタミンですが、過剰症は起き難いのも特徴的です。

代表合併症

  • 動脈硬化など

食品(例)

  • アーモンド
  • 食物油


ビタミンK(フィロキノン・メナキノン)

肝臓で血液凝固因子を作るのに必要なビタミンです。また、実は骨形成にも関わりビタミンDは吸収を助け、ビタミンKはカルシウムの沈着を助けます。

腸内細菌も作ってくれます。ビタミンKを摂取し過ぎても過剰症は一般的に無く、炒め物などで油を使うと吸収を助けます。

代表合併症

  • 新生児メレナ
  • 出血傾向

食品(例)

  • 納豆
  • パセリ・モロヘイヤ



今回は「ビタミン」について解説しました。

まとめ

  • ビタミンは栄養素などの補助的な手助けをします
  • 水溶性ビタミンは2種類(B群・C)です
  • 脂溶性ビタミンはその他4種類です
  • B₁・葉酸(B₉)・B₁₂・A・D・Kはよく問われます


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