
今回は、こんな声に応えていきます。
注意
嘔吐は突発的に起こることが多いです。咄嗟でも使える知識を養ってイメージしていきましょう!
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
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当記事で分かること
- 悪心・嘔吐の違いとは
- 原因・機序について
- 対応・薬剤について
<Contents>
悪心・嘔気・嘔吐とは
ポイント
悪心とは吐き気や嘔吐と同義で、吐く直前の気持ち悪さのことを言います。嘔吐は胃内容物を排出することを言います。延髄の嘔吐中枢が反応し、胃腸・横隔膜などの刺激によって引き起こされます。
嘔吐の分類について
ざっくりですが、嘔吐は以下の様な分類に分けられます。どの種類も延髄の嘔吐中枢を通って作用します。
ポイント
- 中枢性嘔吐:脳圧亢進などで延髄が直接刺激されて起こります。
- 大脳皮質刺激性嘔吐:悪臭や視覚情報などのストレスにより嘔吐を誘発します。例)グロテスクな場面を見るなど
- 末梢性嘔吐:食物の通過障害など、何かしらの原因が神経系を介して中枢に伝わることで起きます。例)指を突っ込むなど
- 化学受容器引金帯刺激性嘔吐(CTZ:chemoreceptor trigger zone):薬物や毒物などにより起きます。

一般的な対応について
ポイント
- 患者の状態を把握する
- 原因などを推測する(後述)
- 吐物の量や性状などを確認する
- 体位を横に向ける
- 清潔や環境を整える
- 必要に応じて吐物を吸引する
- 意識や呼吸などが悪い場合は気管挿管を行う
- 投与薬剤や制吐剤などの指示を確認をする
- 電解質(アルカローシス)や脱水に注意する
- 感染対策を行って片付ける
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嘔吐の機序を学ぶことで、バイタルサイン測定・看護ケアを行いつつ大まかな治療・対応が想像できます。
- 中枢性嘔吐:脳神経症状などの異常を確認します。
- 大脳皮質刺激性嘔吐:ストレス緩和や更衣・含嗽などで吐物による再嘔吐を防ぎます。
- 末梢性嘔吐:可能性の高いと考えられる臓器刺激に対応した初期治療を行います。
- CTZ:胃洗浄による毒物の排泄や薬剤の中止・検討を行います。

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代表的な制吐剤について
がん診療では抗がん剤の副作用などに対するガイドラインが存在します。嘔吐中枢にはドーパミン(D2)・ヒスタミン(H1)・5-HT3・ムスカリン受容体などが存在し、各受容体に拮抗作用を示すことで効果を発揮します。
ちょっと臨床向きになるので、看護学生は割愛しても良いです!種類が多いので、比較的よく使う2種類を解説します。
消化管運動促進薬
メトクロプラミド(プリンペラン®)は、D2受容体に拮抗してアセチルコリンを抑制します。消化管蠕動を促進させるので、制吐作用以外に栄養が消化管で滞ってしまう際にも使います。消化管を安静にしたい場合や褐色細胞腫などには禁忌とされます。
抗ヒスタミン薬
ジフェンヒドラミンなどに代表されるH1受容体拮抗薬を指します。内耳に働くので乗り物酔いに使われたり、副作用を利用した眠剤にも使われます。H1はアレルギーとも関連しているので、花粉症などでも用いられます。
ヒスタミンは覚醒物質です。抑制することで眠気が現れます。また、抗コリン作用(アセチルコリン抑制作用)による口喝・便秘なども起き得ます。
*緑内障(眼圧上昇)・前立腺肥大症(尿道収縮)では禁忌で、眠気を起こすので運転前の服用は避けましょう。

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