
今回は、こんな声に応えていきます。
当記事で分かること
- 酸塩基平衡【基礎】について
- 基準値や式について
- 呼吸と代謝について
<Contents>
酸塩基平衡:酸・塩基とは
読み方は「酸塩基平衡」です。
それなりに大きな病院では避けては通れない酸塩基平衡。多くは看護師が採血し、検査値を出力していると想定すると、第一確認者は看護師になります。
異常を迅速に気付き、予測して動ける様にしておきましょう。また、一般病棟などで採血など無くとも呼吸に異常が出た場合は要注意です。
酸
水溶液中でH⁺を放出するものです。
- 乳酸
- ケト酸
- 炭酸
- 硫酸
塩基
水溶液中でH⁺を受け取るものです。
- 重炭酸イオン(HCO3⁻)
- ヘモグロビン(Hb)
pH
ピーエイチ、臨床ではペーハーと言われることが多く、生体の酸性・アルカリ性を示す数値となっています。リトマス試験紙で言う赤と青ですね!pHが上下する原因は様々です。ヘンダーソン-ハッセルバルヒの式(略)より、血中HCO3⁻と血中PaCO2の比で決定されます。
ポイント
生体は少しアルカリ性に傾いており、7.40∓0.05の範囲に保たれています。異常:7.35>を酸血症(アシデミア)、7.45<をアルカリ血症(アルカレミア)と言います。

単純なpHの絶対値としてアシデミア・アルカレミアを用い、その値に持っていく病態に対してアシドーシス・アルカローシスを用います。
つまり、アシデミアとアルカレミアは混在し得ないですが、アルカローシスとアシドーシスは病態によっては混在し得ます。
肺・腎の緩衝系について
3つに大別されます。
緩衝系
緩衝(Buffer)により、生体内での酸と塩基のバランス調整を行う。反応後の調節スピードは最も速く、一瞬と言って良いです。
重炭酸緩衝系 CO2+H2O⇔H2CO3⁻⇔HCO3⁻+H⁺
>緩衝系で唯一【肺】と【腎臓】で調節され、後述する緩衝系より優れています。この化学式は何となくで良いので覚えておきましょう!CO2(二酸化炭素)が増えると右に進み、H⁺(代謝物など)が増えると左に進みます。
ヘモグロビン緩衝系 Hb・H⁺⇔Hb+H⁺
リン酸緩衝系 HPO4²⁻+H⁺⇔H2PO4⁻
肺
呼吸により二酸化炭素やアセトン(揮発性酸)を排出して調節します。甘酸っぱいとされるアセトン臭(糖尿病・無理なダイエットなど)の原因が酸塩基平衡異常と言うことですね。
揮発:液体が気体になること。
調節スピードは秒~分と早く、バイタルサインでも呼吸が重要視されている。マインドフルネス瞑想などでも重要視されてますね。呼吸は早い段階で異常になるので大事!
出典:鬼滅の刃
腎臓
それ以外の不揮発性酸(乳酸、リン酸、ケトン体など)を腎臓から尿として排出する。HCO3⁻の再吸収も担う。調節スピードは数時間~数日と最も遅いです。
ベースエクセス(BE:Base Excess)と乳酸について
ベースエクセス(Base Excess)の略で、excessは「過剰」と言う意味です。つまり塩基の過剰を表します。基準値は∓2mEq/Lで、プラスに傾くとアルカローシス、̠マイナスに傾くとアシドーシスの病態が考えられます。
大まかに2mmol/Lを越えてくると何かしら組織での嫌気性代謝が起きてきている可能性が考えられます。
酸塩基平衡の読み方について(初級編)
step
1pH
正常、アルカレミア、アシデミアを判断する。
step
2PaCO2・HCO3⁻
互いに異常が無いか確認する。
PaCO2:40∓5mmHg、HCO3⁻:24∓2mmol/L
step
3原因
最初の異常が呼吸(PaCO2由来)なのか代謝(HCO3⁻由来)なのかを特定する。
step
4代償の有無
代償されているか確認する。原因となった対の値を見る。呼吸の場合はpHの影響が早く出るが、腎臓での代償は少なくとも数時間は掛かるのを念頭に置いておく。
簡易早見表
まとめ
- 酸・塩基とは水溶液中でH⁺を放出・受け取るものを言います
- アシデミアは値に対して、アシドーシスは病態に対して用います
- 調節機構は緩衝系・肺・腎臓です
- 状態が変化した時、多くは呼吸が最初に変化します
- 代償機能は肺:秒~分、腎:時~日の時間を要します
- 基準値はpH:7.4∓0.05、PCO2:40∓5、HCO3⁻:24∓2です
ここまで大体理解出来たら次のステップ(下記記事)に進みましょう。
関連記事をCHECK!
-
-
【酸塩基平衡】アニオンギャップ・腎臓/肺の代償機能などについて
