
今回は、こんな声に応えていきます。
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 高安動脈炎について
- ASO・TAOとは
- 症状や治療などについて
<Contents>
高安動脈炎
大動脈や冠動脈、肺動脈などの比較的大血管に多く生じる炎症です。日本では女性が8割程度で、20~30歳代に好発します。7割程度に脈拍の消失を認め、別名「脈無し病」とも言われます。
病変分類
分類は以上の通りで、人種や国などで割合は異なりますが、日本人はⅠ型とⅡa型が多いとされます。
- Ⅰ型:大動脈弓分岐部
- Ⅱa型:Ⅰ型+上行大動脈
- Ⅱb型:Ⅱa型+下行大動脈
- Ⅲ型:下行・腹部・腎動脈
- Ⅳ型:腹部・腎動脈限局
- V型:全範囲に及ぶ
検査・症状・治療
検査
- 大動脈造影
症状
全身性の炎症、血管炎による疼痛、血管の形状変化などを呈し、非特異的(特徴的では無いこと)です。
発熱、倦怠感の他に、頭痛や眩暈などの頭頚部症状が半数程度に認められます。以外に左右上肢の血圧差や脈拍が消失するなどの所見を認めます。
合併症で多いのは大動脈閉鎖不全症と高血圧症で、共に3割を越え、死因の多くは心不全です。脳血管病変や大動脈瘤破裂なども起こり得ます。
治療
- 降圧療法
- ステロイド療法(免疫抑制薬)
手術
- AVR(大動脈弁置換術)
- 人工血管置換術
- PTA(経皮的血管形成術)
慢性動脈閉塞症とは
ポイント
閉塞性動脈硬化症(ASO)とバージャー病(TAO)が大半を占めます。高安動脈炎も原因となる場合があります。
Fontaine分類
Ⅰ度 | Ⅱ度 | Ⅲ度 | Ⅳ度 |
下肢の冷暗・痺れ | 間欠性跛行 | 安静時疼痛 | 潰瘍・壊疽 |
フォンテーン分類は、下肢の動脈に関連する症状を分類したもので、進行程度に合わせて薬物療法・血行再建術・患肢切除などの治療の移行を検討します。
触診

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バージャー病(閉塞性血栓血管炎・TAO:Thromboangiitis Obliterans)
四肢の動静脈に起きる「喫煙」と関係の深い血管病変です。原因は不明で、虚血症状が突然発症します。20~40歳代の男性が9割を占めると報告されています。
検査・症状・治療
検査
- 動脈造影:動脈の途絶や先細りが認められ、側副血行路はコルクの栓抜き状(cork screw)を認めます。
症状
異化の症状などの末梢の虚血症状を主とします。
- 冷感・知覚異常・痺れ・疼痛・潰瘍・壊疽・間欠性跛行など
治療
喫煙することで再度進行することが多く、禁煙が一番重要となります。血管が収縮する寒冷、交感神経を刺激する薬剤、受動喫煙などにも注意します。
保温による血管拡張作用や血管拡張薬(PGE1)の投与などを行います。下肢の挙上は血流が減少するので注意しましょう。潰瘍・壊死・感染を起こさない様にフットケアなども重要になってきます。
手術
- 交感神経節切除:副交感神経を優位にして血流の増加を狙います。ホルネル症候群や発汗低下などの合併症の危険性があります。
- 交感神経節ブロック
- 血行再建:末梢に障害を持つ例が多く、適応症例が少ないです。
- 切断術:壊死組織や感染組織を認める場合は、指趾や四肢の切断を行います。
下肢の疼痛に対しては離被架を使って布団などの刺激を避けましょう!
閉塞性動脈硬化症(ASO:Arteriosclerosis Obliterans)
バージャー病と比較すると、もう少し中枢側の動脈硬化による閉塞性疾患です。50歳以上の男性に多いと報告されています。
多くの人が高血圧、糖尿病、脂質異常症などの既往歴を持っています。
検査・症状・治療
バージャー病などと似ています。動脈造影では虫食い像や途絶が認められ、虚血症状に対した治療や抗血小板薬などを投与していきます。既往歴を持っている場合は、それに対応した治療(血圧・血糖・脂質管理など)を行います。
また、ABI(ankle brachial index)と言った上下肢の血圧差を調べる検査も行います。
今回は「動脈疾患」などに関して解説しました。
まとめ
- 大動脈炎症候群(高安病)の好発は若い女性で、日本では脈無しや頭頚部症状が多め!
- 合併症は大動脈弁閉鎖不全症と高血圧で、死因は心不全が多いです。
- ステロイドの投与や置換術なども必要に応じて行います。
- バージャー病は原因不明だけど喫煙が一番重要!
- 30歳前後の男性が9割で交感神経節切除などが候補に挙がる。
- 閉塞性動脈硬化症は50歳以上の男性に多く、既往歴持ちが多数!
- 内科治療で改善無ければ血行再建が候補に挙がる。
参考資料:血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)
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