当記事で分かること
- 血糖値に影響する因子などについて
<Contents>
質問
質問
くも膜下出血の急性期で実習をしています。経管栄養を投与している患者ですが、糖尿病の既往は無いのに血糖値が高く推移しています。何でですか?
以上の質問を頂きました。情報が少ないので明確な原因は分かりませんが、考え得る項目を以下にまとめて順に解説していきます。
解説項目
- 糖尿病・高血糖
- 既往・電子カルテ
- 経管栄養
- その他
検索(コツ)
Googleなどで検索する際に、疑問に思っていることを「〇〇 ▲▲」などとスペースを空け、言葉を複数に分けて検索すると引っ掛かり易いです。また、疾患に関しては一般的に「ガイドライン」を軸に治療を行います。ちょっと難しいとは思いますが「疾患名 ガイドライン」で検索すると、メジャーな疾患は検索に引っ掛かるので参考にしましょう。検索エンジンの王道は「Google」で、タイトルに関係無く総合的に内容が優れた記事を優先します。タイトルを優先して検索したい場合は「Bing」などで検索を行うと良いです。
ポイント
尚、実習・臨床の報告と同様に質問もSBAR(ISBARC)で行うと相手にも分かり易く回答し易いです。必ず押さえましょう!
- Situation:状況(今何で悩んでいるのか?)
- Background:背景(状況に関係する疾患・検査値・調べた内容など)
- Assessment:評価(自分で判断したこと)
- Recommendation:提案と依頼(何をした方が良いのか提案し、何をして欲しいのか依頼する)
関連記事をCHECK!
-
-
10種類の日常でも使える医療学生・従事者必見のコミュニケーションスキルとは?
糖尿病と高血糖の違いとは
出典:糖尿病診療ガイドライン2019
関連記事をCHECK!
-
-
【基礎編】看護学生・新人向けの糖尿病まとめ 検査・合併症・指導など
まず高血糖状態と糖尿病との違いをざっくり見ていきましょう!高血糖とは血糖値が高い状態ですが、普通の人でも食後は血糖値が上昇します。この血糖値を元に戻す機能を耐糖能と呼んで、OGTT(ブドウ糖負荷試験)で検査します。
糖尿病では各検査によって血糖値・HbA1cが異常の場合に診断されます。上記のフローチャートの通り、場合によっては再検査も必要となり診断には最長半年程度掛かることになります。ちなみに空腹時血糖値は「腹減り」の状態では無く、10時間以上の絶食と定義されています。
ポイント
- 空腹時・随時血糖値
- OGTT・耐糖能
- HbA1c:過去数ヶ月の血糖推移を示す
既往・電子カルテの情報について
既往歴が無いとのことですが、既往歴は病院に受診した履歴を示す病歴です。一度も受診せずに病気を患っている場合は、既往歴として聴取されないので注意が必要です。その場合は入院後に検査などを行って確定診断を行いますが、専門科が無い場合などは現在の病気を治療してから受診を促すこともあります。また、医療者も人なので既往歴をカルテに記載し忘れた場合なども考えられます。
可能性
- 実は糖尿病の可能性が考えられる
- 未受診・記載漏れなどが原因として起きている
経管栄養・食事について
<胃管>
<胃瘻>
経管栄養は胃管・胃瘻などより栄養剤を注入する方法です。血糖値に関しては投与量・投与速度なども関係してくるので、その辺りも適切に行えているかの確認が必要です。また、普通の食事と違って時間を掛けて投与します。高血糖・消化管などの症状が強い場合は、長い時間を掛けて投与することで急激な血糖値の上昇や下痢・嘔吐などを防ぎます。その分、普通の人と違った血糖値の推移も見られます。
それに加えて輸液なども影響します。点滴にはブドウ糖が含まれているタイプや高カロリー輸液などの血糖値への影響が強いタイプの種類があります。その辺りも一緒に考察していく必要があります。
ポイント
- 栄養剤(種類・量・速度・投与間隔など)が影響している
- 輸液(種類・量・速度など)
関連記事をCHECK!
-
-
【輸液療法】使い分けって?種類・目的・ポンプの使い方などを解説します<看護>
その他
輸液以外にも内服薬・生体侵襲など様々な因子が関与します。薬剤で言うと副腎皮質ステロイドが代表的です。グルカゴン・成長ホルモン・アドレナリンなど、血糖値を上げるホルモンも幾つか存在してストレスなどに影響して分泌されます。
ポイント
- 内服薬・生体侵襲などが関与している
今回は「血糖値」について解説しました。
まとめ
- 血糖値は様々な因子に影響します
- 各因子を一つずつ考えて学んでいきましょう
