
今回は、こんな声に応えていきます。
ポイント
血圧は医療者、一般人問わず、基礎と言っても良いくらい重要なポイントですので、必ず押さえましょう。
可能な範囲で実習中にアウトプットも一緒に行うと、結構記憶に定着します。今後、実習を控えている場合は参考にしてみてくださいね。
当記事で分かること
- 健常人の血圧の異常値について
- 高血圧と低血圧について
- 脈拍の種類について
<Contents>
高血圧とは
血圧は以下の式で求められます。
血圧 = 心拍出量 x 末梢血管抵抗
合併症の無い健康な人の収縮期血圧は140mmHg、拡張期血圧は90mmHgを、一つの基準にすると良いと思います。
死亡率UP
基準を超えると、脳血管障害、心臓疾患、末梢動脈疾患、腎疾患などの血管障害の危険度は上がります。収縮期血圧は20、拡張期血圧は10の数値で危険度が変化します。血圧の至適範囲は、合併症などで変わってきます。
空気入れに例えると
心拍出量
心臓から駆出された血液の量です。空気入れに例えると以下の通りになります。
- 心拍数:手押しする回数で、少ないほど送り込む量は減ります。
- 心収縮力:手押しする力強さで、非力なほど送り込む量は減ります。
- 血液量:ポンプ内の空気に入る量が大きいほど送り込む量が増えます。
*但し心拍数が多過ぎると、十分に拡張できずに拍出量は減ります。
末梢血管抵抗
血管の抵抗のことで、一般的に高いほど血管は収縮して縮んでいます。空気入れではポンプを出た後のホース部分になります。
- 柔軟性:ホースが柔らかいほど柔軟で抵抗が下がります。動脈硬化では硬くなって抵抗が上がることで血圧が上がります。また、硬いので血管も裂け易くなります。
- 粘性:血漿のサラサラ具合のことで、空気入れにベタベタした液体が混入していると抵抗が生まれて圧力が上がるイメージです。
- 面積:血管が拡張することで抵抗は下がります。ホースが細いほど、手押しした際に抵抗が生まれての圧力が高くなります。
本態性高血圧
高血圧の種類は、本態性高血圧が9割です。本態性とは、原因が明確に特定できないと言う意味を持ちます。
日常の血圧が高い仮面高血圧、診察時の緊張などで上がる白衣高血圧など、タイミングで数値が変わってしまう人も多く、日常での血圧管理が重要になってきます。
二次性高血圧
様々な疾患が原因となり、二次的に高血圧になる病態です。必要に応じて検査を追加して、特定していきます。原疾患治療を行っていきます。
例えば褐色細胞腫の場合、カテコールアミン異常産生によります。原発性アルドステロン症の場合は、RAA(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン)系のアルドステロン異常産生です。
検査
検査は、血圧測定以外に、眼底所見や身体情報などを見ていきます。
眼底検査は、糖尿病や眼疾患などでも行います。動脈の状態や、出血の有無などを見ます。瞳孔を広げる散瞳薬は、眼底を見易くしてくれます。
ポイント
また、運動・塩分・酒・煙草・ストレスなどが原因となります。
生活指導・服薬指導の他、血圧をなるべく上げない工夫をします。特に寒冷には注意し、トイレや脱衣所などを暖めます。排便コントロールなどにより、怒責を防ぐことも重要です。
症状
- 頭痛・眩暈・肩凝り・耳鳴り・倦怠感など
低血圧とは
低血圧の明確な基準は定義されていませんが、一般的には収縮期血圧100mmHg未満、拡張期血圧は60mmHg未満になっています。本態性、症候性又は二次性に加え、起立性などに分けられます。
本態性低血圧
ポイント
女性に多く、筋肉量が少なかったり、痩せている傾向です。症状としては、血行が悪いことによる、眩暈、冷感など様々です。
症候性(二次性)低血圧
高血圧と同様に、ホルモン、循環器、自律神経、体液量、薬剤性など原因は様々です。
高血圧とは逆で、アルドステロンの機能低下を呈するアジソン病や、女性ホルモンのエストロゲンが、血管拡張作用も持っており、血圧を低くします。
起立性低血圧
収縮期血圧が姿勢により20mmHg以上下がってしまう状態です。本来、生体反応で血流は確保されますが、自律神経障害、薬剤性、加齢などの原因により生じます。
自律神経障害は、ストレスや運動不足などでも起きます。安静が長期間の患者を起こす際には、注意しましょう。自律神経とは、興奮系の神経(交感神経)と、安静系の神経(副交感神経)のことです。
脈拍・心拍
心拍とは「心臓の動く回数」で、脈拍とは「触診での動脈の触れる回数」です。
頻脈(頻拍)
心臓の動きが速くなる原因としては、運動、発熱などで体の酸素需要が増加したり、体液減少、血管拡張などで血圧低下したり、不整脈、ホルモン、薬剤などの影響によります。
徐脈(徐伯)
ジギタリス中毒
神経の異常や、刺激伝導路の異常、薬剤性ではジギタリス中毒が有名です。ジギタリスは見た目は綺麗ですが、猛毒を持っています。
作用としては、心収縮力を高め、迷走神経の感受性を高め、心拍数を抑制しますが、血中の濃度の調節範囲が狭く、中毒になると不整脈や、消化器症状を来します。腎排泄なので腎不全患者には使い難い薬です。カリウムが低いことでも起き易くなります。
迷走神経とは
12神経の10番目(X)です。脳より、頸部、胸部、腹部に分布しています。
副交感神経の役割も担っているので、過剰に反応すると、心臓の動きが遅くなったり、血管が拡張します。この副交感神経をブロックする薬剤が、アトロピンで、アセチルコリン受容体を阻害します。
奇脈
正常人でも息を吸うと、多少の収縮期血圧の下降を示しますが、心室拡張障害を呈していると、より顕著に現れます。吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上下降します。
大脈・小脈
脈圧の計算式を思い出すと分かり易いです。
- 脈圧 = 収縮期血圧 - 拡張期血圧
- 大脈:収縮期が上がるか、拡張期が下がると生じます。脈圧が上がるので、触診で強い拍動を感じられます。動脈硬化による収縮期血圧(↑)・大動脈弁閉鎖不全症による拡張期血圧(↓)などで起こります。
- 小脈:脈圧が下がるので、触診で弱くなります。心拍出量が減るような病態で起こります。
速脈・遅脈
脈の速さは、駆出の速度と消失の速度に関係します。
交互脈
大脈と小脈が交互に出ます。低左心機能(心筋障害)では、一回毎の心臓(左心室)の動きが変わることで、大小の脈が交互に生じます。
今回は「血圧・脈拍」について解説しました。
まとめ
- まずは140/90mmHgを基準に考える
- 以下の式は覚えると応用が効きます
- 血圧 = 心拍出量 x 末梢血管抵抗
- 心拍出量 = 1回拍出量 x 心拍数
- 脈圧 = 収縮期血圧 - 拡張期血圧
- 平均血圧 = 脈圧 ÷ 3 + 拡張期血圧
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