
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 人体の構造とは
- 器官・組織・細胞・核など
<Contents>
人体の構造:器官・組織について
器官とは組織の集合体です。心臓や肺などの臓器が器官に当たります。組織とは細胞の集合体で4種類に大別されます。
- 筋組織
- 支持組織
- 上皮組織
- 神経組織
筋組織
細胞に、タンパク質でできた筋原線維を多く持ちます。大別すると、以下の2種類になります。
- 横紋筋
- 平滑筋
横紋筋
骨格筋と心筋は顕微鏡で横に紋様が見えることより、横紋筋と言われます。骨格筋は意識的に動かせる随意筋で、上肢や下肢などの運動に使われ、多核を持ちます。心筋は心臓に在り、無意識で動く不随意筋で、細胞の中心に単核が見られます。
機序
ざっくりした筋肉が動くまでの流れは以下の通りです。
- 大脳皮質運動野(前頭葉)
- 脊髄
- 筋肉(神経筋接合部)
- カルシウムイオン
- 筋原線維(フィラメント)
- 筋収縮
遅筋・速筋
遅筋と速筋は魚の切り身で覚えましょう!
マグロは回遊魚なので、疲れ難くなっている遅筋(赤筋)で、フグは逃避・捕食に長けている速筋(白筋)と覚えると分かり易いです。
平滑筋
平滑筋は血管や内臓に在り、心筋と同じで不随意筋、単核です。
支持組織
4種類に分けられます。
- 血液・リンパ
- 結合組織
- 軟骨組織
- 骨組織
血液・リンパ
血液・リンパは血球や血漿、リンパ液などが含まれます。
結合組織
結合組織は、再生能力が高く、更に線維成分と細胞成分に分けられます。線維成分はコラーゲンが豊富で、靭帯や腱などを構成します。細胞成分は、線維芽細胞、マクロファージ、白血球、色素細胞、肥満細胞などです。
軟骨組織
軟骨組織では、糖、蛋白質、コラーゲンで軟骨基質の形成や修復を行っています。
骨組織
コラーゲン以外にリン酸カルシウムを多量に含み、硬骨とも呼ばれます。骨組織の細胞成分は、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞の3種類です。破骨細胞は骨の破壊と再構築を行います。再構築のことをリモデリングと言います。
上皮組織

上皮組織は器官や体表面を覆います。
- 外胚葉:皮膚など
- 内胚葉:消化管など
- 中胚葉:血管・筋肉など

上皮組織は部位毎に6種類存在し、それぞれ層数・形・性質などが違います。全部覚えようとせず、特徴だけ踏まえると良いと思います。
イメージ
- 単層扁平上皮は、平べったくてガス交換やイオン交換などを行うイメージ
- 重層は分厚く、刺激から守るイメージ
- 立方や円柱は分泌系統、線毛が付くと何かを動かすイメージ
- 移行上皮は尿路上皮、伸び縮みに特化している
神経組織
ニューロンとグリア細胞に大別されます。
ニューロン(神経細胞)
ニューロンは神経細胞とも呼ばれ、細胞体、軸索、樹状突起から成り立ちます。細胞体には、核などが存在し、アメーバの様に樹状突起を伸ばしており、神経伝達物質を受け取ります。また、軸索を伸ばしてシナプスから神経伝達物質を送ります。
神経伝達物質とは
神経伝達物質とは、アセチルコリンやセロトニン、ドーパミンなどに代表される化学物質です。感情、運動などに関わってきます。
軸索とは
軸索には、絶縁体の役割となる髄鞘が隙間を空けて巻き付いています。この隙間をランビエ絞輪と言います。髄鞘に囲まれた軸索を有髄線維、剥き出しの軸索を無髄線維と言います。
有髄線維では絶縁体となる髄鞘が存在しているので、ランビエ絞輪を跳躍して伝わっていきます。これを跳躍伝導と言います。
グリア細胞(神経膠細胞)
もう1つの神経組織、グリア細胞に移ります。神経膠細胞とも呼ばれ、再生能力を持ち、更に4種類に分けられます。
- アストロサイト(星状膠細胞):アストロサイト又は星状膠細胞は、イオン環境や血液脳関門に関係します。アストロは星と言う意味です。
- オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞):オリゴデンドロサイト又は希突起膠細胞は中枢神経の髄鞘形成や栄養に関係します。
- ミクログリア(小膠細胞):ミクログリア又は小膠細胞は、ニューロンの修復や除去などに関係します。
- シュワン細胞:シュワン細胞は、末梢神経の髄鞘を形成します。
人体の構造:細胞・核について
細胞は人体最小単位の大きさです。細胞質、細胞膜、核などを持ちます。細胞膜はリン脂質二重層構造になっており、イオンチャネルや糖、アミノ酸などの輸送機能を持ちます。
細胞質には以下の小器官などが存在します。
- 小胞体
- ゴルジ体
- リボソーム
- リソソーム
- 中心体
- ミトコンドリア
図を参考に順に見ていきましょう。
小胞体
小胞体は袋状の膜構造になっており、リボソームで粗く見える粗面小胞体と、リボソームが無く滑らかな滑面小胞体に分けられます。
粗面小胞体は蛋白質やムコ多糖の合成、分泌が行われています。滑面小胞体では、糖や脂質の代謝、解毒、カルシウム貯蔵などが行われます。
ゴルジ体
ゴルジ体では、リポ蛋白質や糖蛋白質が合成、分泌されています。
リボソーム・リソソーム


- リボソーム:蛋白質やRNAで構成されており、蛋白質の合成を行います。
- リソソーム:細胞の分解、処理を担当します。
中心体
中心体は核分裂や線毛の形成を行います。
ミトコンドリア
ミトコンドリアは、エネルギー産生を行います。緑のイメージが強いですが、赤くなったりもします。以下にエネルギー産生までの大まかな機序を示します。
解糖系
解糖系によりグルコースがピルビン酸に代謝され、更にアセチルCoAとなります。アセチルCoAは脂肪酸からも作られます。酸素を必要としない嫌気性代謝です。
クエン酸回路
クエン酸回路は、アセチルCoA、アミノ酸、ピルビン酸を二酸化炭素などに分解します。
電子伝達系
更に電子伝達系を介して水となった際に、ATPと呼ばれるアデノシン三リン酸を作ります。
ATPは、生合成、筋運動、体液やホルモンなどの分泌・輸送に関わります。これらの反応はミトコンドリア内で行われます。
核
核の構成は以下の通りです。
- 核小体:転写などを行うところ
- 核液:粘性液体
- 核膜
- 染色質(クロマチン)
核膜と染色質を見ていきます。
核膜
核の境界となる内膜、小胞体に続く外膜の2重構造から成ります。染色質は細胞分裂時に染色体として確認されます。
染色質・染色体
構成は核酸と蛋白質となっています。染色体は、細胞分裂時に出現します。
染色体は23対46本で、常染色体が22対44本、性染色体が1対2本です。女性がXX、男性がXYとなっています。
生殖細胞
生殖細胞は女性が卵子、男性が精子です。それぞれが減数分裂をして、常染色体22本、性染色体1本を持ち、受精して合わせて46本となります。
蛋白質
蛋白質とはアミノ酸の集合体です。リボソームでアミノ酸を繋いで蛋白質を合成することを翻訳と言います。
3つの塩基から成り立ち、これをコドンと言います。核酸の構成は、塩基、五炭糖、リン酸で、この3種類で構成された物質をヌクレオチドと言います。リン酸が脱落した物質をヌクレオシドと言います。

核酸
DNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)があります。
DNAは二本鎖、二重螺旋構造で、遺伝情報の保持や伝達を行います。また、体細胞分裂の前に複製されます。塩基は4種類で、グアニン、アデニン、シトシン、チミンです。アルファベットでGACT:ガクトと覚えましょう。「G」と「C」、「A」と「T」がペアになっています。
RNAは一本鎖で、アミノ酸をリボソームに運ぶトランスファーRNAやDNAの情報を写し取るメッセンジャーRNAなどがあります。DNAを写すことを転写と言います。塩基はチミンがウラシルに代わり、アルファベットでGACU:ガクと覚えましょう。
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