
今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください! 国家試験範囲の解説一覧は領域別にHOMEに掲載しています。Kindle電子書籍を活用して無料・低価格で「電子ノート」を作りたい場合は、以下の記事を参考にしてくださいね!
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【医療学生】iPad・アプリなどを活かした図解ノートによる勉強方法について<看護>
当記事で分かること
- 器官形成期について
- 催奇形性・胎児毒性とは
- 代表的な薬剤って?
<Contents>
器官形成期とは
器官形成期とは胎児の臓器などが形成される時期のことで、一般的に4週頃~12週頃までの時期を言います。文献によって15週頃まで入りますが、特に2ヶ月目は多くの器官が形成されるので催奇性の事象に注意します。
催奇形性・胎児毒性とは
胎児に奇形を「催す」性質を持つ事象を「催奇形性」と言います。原因は様々で、今回のテーマは「薬剤」です。その他、放射線・ウイルスなどになります。
注意ポイント
4~7週は臨界期とも呼ばれていて、特に注意を要します。それ以前の場合は、影響無く産まれるか流産してしまいます。これを「All or Noneの法則」と言います。日本語で言うと全か無かの法則ですね。

胎児毒性とは
妊娠16週頃を過ぎると、薬剤による奇形のリスクは無くなるとされます。その代わり、胎児自体に影響が出てしまいます。結局のところ注意が必要で、よく用いられる解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンが一番安全性が高いと報告されています。
先天性風疹症候群
注意ポイント
ウイルスでは先天性風疹症候群が有名です。個々のワクチン接種により予防可能なので、家族全員の抗体価を気に掛けましょう。
抗菌薬
- テトラサイクリン系:歯牙に着色が起き得る
- アミノグリコシド系:(Ⅷ)聴覚神経障害や腎障害が起き得る
- ニューキノロン系:安全性未確立
解熱鎮痛薬・抗炎症薬
- NSAIDs:元々腎臓に影響を与える薬剤で、胎児にも腎臓に影響して胎児尿で構成される羊水が減少する可能性が懸念される
- インドメタシン:動脈管を狭窄させる作用を持ち、肺血流が増えて肺高血圧となる
*インドメタシンは動脈管を狭窄させるので、先天性疾患の動脈管開存症の治療でも用いられます
糖尿病治療薬
- 経口血糖降下薬:安全性未確立なので、安全性が確立されている胎盤通過性の無いインスリンを用いる
降圧薬
- ACE阻害薬・ARB:催奇形性を持ち、腎障害などを起こし得る
抗凝固薬
- ワルファリン:催奇形性を持ち、軟骨形成異常(胎児ワルファリン症候群:ビタミンK阻害による)などを起こす
ヘパリンは胎盤を通過しないので催奇形性は無いとされる。
抗てんかん薬
- パルブロ酸ナトリウム:催奇形性
- カルバマゼピン:催奇形性
その他
代表的な薬剤を列挙しましたが、その他にも様々な薬剤・化学物質などが存在するので注意が必要です。
今回は「胎児に影響する薬剤」について解説しました。
まとめ
- 妊娠前後では薬剤の選択には注意して近医に相談しましょう!