
・どんな症状や治療をするの?
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!
本記事の内容について
・食道の特徴を復習しよう
・食道アカラシアの病態とは
・検査や治療などについて
目次
食道の特徴とアカラシアの検査や治療について
では消化管の「解剖」、「運動」などで解説した食道の特徴を振り返ってみましょう。
>食道の特徴
・生理的狭窄部位
>C6(入口)
>Th4-5(気管・大動脈交叉)
>Th10-11(食道裂孔)
・「粘膜層」、「筋層」、「外膜」で構成される
・漿膜が無いので癌は外側に浸潤する
・蠕動運動で食物を運ぶ
>食道アカラシア
では、食道アカラシアとは何でしょう?10万人に1人程度の疾患だと報告されています。以下の画像の通り、食道下部で食物の通過障害が生じます。
LES
食道には下部食道括約筋(LES:Lower Esophageal Sphincter)が備わっており、食物が通過する際に弛緩することで胃に流れていきます。食物が通過しない時は収縮し、胃からの逆流を防ぎます。
LESは通過に関係する食道疾患では重要な要素となります。
原因
正常な蠕動運動を行えなかったり、弛緩不全を起こして収縮したまま食物が停滞してしまいます。この原因は明確になっていませんが、神経の変性などが関係していると報告されています。
>検査・症状・治療
検査
・食道造影検査:先細って狭窄することで、画像では鳥の嘴状に見えます
・内視鏡検査:実際にカメラで形状などを見ます
・食道内圧測定:LESの圧力上昇や蠕動波消失などを認めます
<内視鏡>
症状・合併症
>症状:嚥下障害・胸痛・逆流・嘔吐・詰まる感じなど
*消化液と混じっていないので比較的臭気は少ないです。
>合併症:食道癌・肺炎など
*悪心・嘔吐については「コチラ」を参考にしてくださいね!
治療
対症療法としてCa拮抗薬・亜硝酸薬など
>血管拡張作用を有しますが、食道も血管と同じ平滑筋なので拡張作用を期待して使います。
>手術
<腹腔鏡>
手術
・バルーン拡張術:狭窄部を風船で拡張させます。
・Heller-Dor術:腹腔鏡化で狭窄解除などを行います。
・経口内視鏡的筋層切除術(POEM:Per Oral Endoscopic Myotomy):内視鏡的に食道にトンネルを作り、筋層を切って通過部を広げます。
飲み込み難さが見られるので、食事時間や形態、姿勢などに注意しましょう。頻回な逆流は肺炎や癌などのリスクに関与します。また、普段は冷たい飲み物などで症状が増悪するので、なるべく温かくします。
今回は「食道アカラシア」について解説しました。
まとめ
・食道の生理的狭窄部位「3」つを押さえよう
・「3」層で、漿膜は無し
・蠕動運動で食物を運びます
・アカラシアは原因不明ですが神経変性に起因します
・LESは通過障害や逆流に関係するので押さえよう
・慢性化すると誤嚥性肺炎や癌の危険性が高まります
・冷たい飲食は控えよう
・治療は平滑筋弛緩、バルーン拡張、外科治療など

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