当記事で分かること
- ネフローゼ症候群の食事療法について
<Contents>
質問
質問
ネフローゼ症候群は尿蛋白・低アルブミン血症によって、肝臓での蛋白質合成が亢進します。これによって、LDLコレステロールなどが増加して脂質異常症になると解釈しています。蛋白質制限を行う理由と、脂質制限を行わない理由について知りたいです。
以上の質問を頂きました。順に解説していきます。
解説項目
- ネフローゼ症候群
- 食事療法
検索(コツ)
Googleなどで検索する際に、疑問に思っていることを「〇〇 ▲▲」などとスペースを空け、言葉を複数に分けて検索すると引っ掛かり易いです。また、疾患に関しては一般的に「ガイドライン」を軸に治療を行います。ちょっと難しいとは思いますが「疾患名 ガイドライン」で検索すると、メジャーな疾患は検索に引っ掛かるので参考にしましょう。検索エンジンの王道は「Google」で、タイトルに関係無く総合的に内容が優れた記事を優先します。タイトルを優先して検索したい場合は「Bing」などで検索を行うと良いです。
ポイント
尚、実習・臨床の報告と同様に質問もSBAR(ISBARC)で行うと相手にも分かり易く回答し易いです。必ず押さえましょう!
- Situation:状況(今何で悩んでいるのか?)
- Background:背景(状況に関係する疾患・検査値・調べた内容など)
- Assessment:評価(自分で判断したこと)
- Recommendation:提案と依頼(何をした方が良いのか提案し、何をして欲しいのか依頼する)
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ネフローゼ症候群について
ポイント
- 蛋白尿3.5g/日以上持続
- 低アルブミン血症(3.0g/dL以下)
- 浮腫
- 高LDLコレステロール血症
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ネフローゼ症候群の予後・診断基準・症状・食事などについて解説します<看護・医療国家試験>
ネフローゼ症候群は色々な疾患によって起こる「症候群」です。代表的な診断基準・解説はざっくりと上記に挙げています。小児・成人でも原因・治療内容などが異なり、各々の重症度でも違ってきます。その為、一概に制限などは行わずに個々の状態で判断していきます。
食事療法について
ネフローゼ症候群で最も重要なのは塩分制限で、低アルブミン血症に加えて過剰に塩分を摂取すると、体内に水分を引っ張って浮腫を増悪させてしまいます。蛋白質制限・脂質制限などは過度に行わないことが推奨されています。食事療法は肥満・糖尿病の有無などでも変わってきます。
蛋白質制限が推奨される理由として、腎臓への負担を軽減する腎保護の他、尿蛋白減少などが挙げられます。これらは患者の状態などにも左右され、はっきりとした根拠が無い点に注意です。
また、低アルブミン血症では肝臓での蛋白質合成によって脂質・凝固因子(=蛋白質)が過剰になります。血栓傾向が強くなり、過度な安静による深部静脈血栓症には注意が必要です。蛋白質の合成過程で脂質異常を来すので、一般的に脂質制限は行わずにスタチンなどの薬物療法で対応します。
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ポイント
- 塩分制限:浮腫以外にアルブミンの排泄を軽減する可能性が報告されている
- 蛋白質制限(微小変化型ネフローゼ症候群:1.0~1.1g/kg/日・その他:0.8g/kg/日)
- 運動制限は明らかな根拠無し
今回は「ネフローゼ症候群・食事療法」について解説しました。
まとめ
- ネフローゼ症候群は症候で、原疾患(原因)が別に存在します
- 食事療法は特に塩分制限が重要で、蛋白質制限は過度に行いません
参考・引用文献(Web)
- 小児特発性ネフローゼ症候群診療ガイドライン2020
- エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020
