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心不全と虚血性心疾患の原因・症状・検査などを解説します<看護師国家試験>

2020年9月5日

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

心不全の病態って、どんな感じなの?虚血性心疾患って?

今回は、こんな声に応えていきます。

この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!

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当記事で分かること

  • 心不全とは
  • 虚血性心疾患とは
  • 症状・検査・治療など

心不全とは

心不全の多くは心機能が悪くなって循環が滞った状態です。体循環系がうっ滞する右心不全低心拍出量により肺循環系がうっ滞する左心不全両方を呈する両心不全があります。右心不全の多くは、左心不全に続発します。

原因は様々ですが、高血圧症や弁膜症による圧・容量負荷などになります。心室の血液が滞ったり逆流したりして、駆出しようと心臓が頑張ることで心筋が肥大し、疲れて拍出する機能が落ちてしまいます。虚血や炎症などによる心筋障害、頻拍による心臓の空打ちや、徐脈によるうっ滞などでも起きます。

ポイント

前回解説した血圧や心拍出量の計算式を思い出すと、関連付け易いです。

  • 心拍出量(CO)=心拍数(HR)×1回拍出量(SV)
  • 血圧(BP)=心拍出量(CO)×末梢血管抵抗(PR)
右心不全

右心不全

左心不全から続発し、大静脈系の血液が滞ることによって、図に代表される症状が出ます。

左心不全

左心不全

低心拍出量によって血流が種々の臓器にきちんと届かず、意識障害、乏尿、チアノーゼなどが生じます。それを感知して交感神経が働き、頻脈、冷や汗、冷感などが起きます。

チアノーゼについて

チアノーゼ

主に心肺機能やヘモグロビン異常による中心性チアノーゼと、心機能や末梢血管の狭小化による末梢性チアノーゼに分かれます。還元ヘモグロビンが5g/dL以上となるとチアノーゼは出現します。ヘモグロビンの正常値は性差などで違いますが、ざっくりと14g/dL前後です。

この為、元々絶対数の少ない貧血では出難く、逆に多血症では出易いです。末梢に出現することが多いですが、重症化すると体幹部などにも呈します。

呼吸困難について

また、肺循環に影響を及ぼすと、呼吸困難などを呈します。特に副交感神経が働き、心拍数が落ち着く夜間に多く、臥位による静脈還流量の増大も影響します。また、それに付随して、心臓喘息と言った狭窄音、ゼーゼー、ヒューヒューなどの喘鳴が聞かれます。

これは過剰な水分によって気管支が圧迫される為です。聴診ではブツブツ、などの水泡音が聞かれます。痰は、肺に血液が滞っており、血液の成分が滲み出た、ピンク色や、時として血性の泡沫痰が出ます。

ポイント

心不全患者は、上体を起こして起坐呼吸にすると静脈還流量が減って楽になることが多いです。

人工呼吸器

  1. 換気量の改善:端的に言って、二酸化炭素の改善になります。
  2. 酸素化の改善:SpO2、PO2のなどの改善です。
  3. 呼吸仕事量の軽減:疲弊した筋肉などを休ませる目的です。

また、陽圧換気により静脈還流や心拍出量が下がり、血圧も下降します。血圧が安定している心不全の場合は、これが心臓の負担を軽減し功を奏します。

人工呼吸器には、直接気管に管を入れる侵襲的な方法と、マスクなどで換気を行う非侵襲的な方法があります。状態が安定していれば、まずマスク換気から始めます。

心不全の検査について

胸部レントゲンで、両肺に白くモヤモヤした鬱血を表す所見を認め、蝶の様な形をしているので、バタフライシャドウと言います。

心胸郭比は増加し、心拡大を認めます。心拡大は心臓の大きさ、心肥大は心筋の分厚さを言います。心胸郭比は、図の式で求められます。体勢や、年齢などで多少変化します。

血液検査ではBNP、脳性ナトリウム利尿ペプチドが上昇します。最初に脳で発見されたので、この名前ですが心室の刺激に対して分泌され、血管拡張、利尿作用を持ちます。

呼吸障害などを呈している場合は、血液ガス分析も見ます。血液ガス分析や、呼吸不全については、概要欄にリンクを貼っておきます。

心エコーでは、心臓の動きや、体液などを、超音波で見ます。食道の裏から、血栓や疣贅を確認する、経食道心エコーもあります。疣贅とは、菌の塊みたいなものです。

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NYHA分類

図の通りです。心疾患を基礎に持ち、Ⅰ度より徐々に悪くなっていきます。

Forrester分類

治療や看護は、Forrester分類を参考にしましょう。心係数2.2L/m/㎡、肺動脈楔入圧18mmHgは基準になるので覚えましょう。簡単に言ってしまえば、2.2L/m/㎡未満で血圧管理、18mmHg以上で体液管理です

心係数の求め方は覚えていますか?

Ⅰ群とⅡ群は心係数が正常です。Ⅲ群とⅣ群は心係数が2..2L/m/㎡未満で、末梢循環不全となります。Ⅱ群とⅣ群は肺動脈楔入圧が18mmHgを越えます。

ポイント

  • Ⅰ群:安定している場合は、不整脈管理、安静、鎮痛などを行います。
  • Ⅱ群:体液過剰です。利尿薬や、血圧が安定していれば硝酸薬を用います。硝酸薬は血管を広げて血圧を下げますが、静脈も広げて体液をプールしてくれるので前負荷を軽減してくれます。
  • Ⅲ群:心係数が2..2L/m/㎡未満です。体液が少ない場合は輸液を、心臓が弱っている場合は強心薬を、徐脈にはペーシングを行います。PDEⅢ阻害薬は、心収縮力の増強と血管拡張作用を持ちます。
  • Ⅳ群は、更に肺動脈楔入圧が18mmHgを越えます。治療が著効しない場合は、機械的な補助(IABP・PCPS)を取り入れます。

IABP・PCPSについて

大動脈バルーンパンピング(IABP:Intra Aortic Balloon Pumping)は大動脈弓部の先、下行大動脈に風船を留置します。拡張期血圧で風船を膨らませることで、末梢への血流をせき止め、冠動脈血流や脳血流などを上昇させます

更に収縮期血圧で風船が萎むことで、血管抵抗が一気に減少し、圧負荷を下げて心臓の仕事量を減らします

 

経皮的心肺補助装置(PCPS:Percutaneous Cardiopulmonary Support)は、学生のうちは詳しく覚えなくて良いと思いますが、心肺補助装置ですね。人工肺を使った酸素化や、血を送ることで循環の補助を行います。

これらの補助循環は人体にとって異物ですので、血栓の予防が大事です。血栓予防によって血液がサラサラになるので、出血の危険性も高く厳密にコントロールをします。

虚血性心疾患とは

続いて、虚血性心疾患に入ります。虚血性心疾患とは、冠動脈の狭窄や、閉塞によるものを総じて言います。

狭心症

主に胸部症状を呈しますが、左上肢や歯など、放散痛を伴う場合もあります。発作時には硝酸薬を用います。経口の服薬では、肝臓で代謝されて無効となるので、舌下や静脈に投与します

種類としては、安定型と不安定型になります。安定型は、三週間以上安定している、労作性狭心症と安静時狭心症があります。

安定狭心症

労作性狭心症

その名の通り、走ったり階段を登ったりなど、何かしらの身体負荷で生じます。これは、動脈硬化などにより冠動脈が狭窄しているところに、労作によって更に心負荷が生じることによって起こり、STが低下します。

運動負荷で心電図の変化を見たり、難しい場合は血流検査や画像検査などを行います。数分の胸部症状などが生じますが、安静や硝酸薬を舌下投与することで改善します。

安静時狭心症

主に早朝にかけて生じ、日本人には多いとされます。

冠動脈がスパズムと言って、波打つように攣縮します。深夜から早朝に生じる原因として、アセチルコリンが原因の一つとされています。

寝ている時に優位になる神経は何だったでしょう?そう、副交感神経ですね。副交感神経の神経伝達物質は、アセチルコリンでしたね。

胸部症状は10分前後続き、ST上昇を認めるものを、異型狭心症と言います。硝酸薬や、カルシウム拮抗薬による血管拡張が有効です。早朝に起きるので、主に眠前に服用します。

カルシウム拮抗薬はカルシウムチャネルに作用し、血管や心筋の収縮を抑制します。グレープフルーツと一緒に摂取するとを作用が増強してしまうのが有名ですね

不安定狭心症

運動や安静を問わず、3週間以内に発症したり、増悪している狭心症で、心筋梗塞に移行する可能性が高く、切迫した状態です。直ちに治療を開始します。安静にして、落ち着いていれば待機的にカテーテル検査などを行います。

不安定狭心症と心筋梗塞を、併せて急性冠症候群と言います。

急性心筋梗塞

冠動脈が閉塞し、心筋の壊死が始まっている状態です。胸痛は20分~30分以上持続し、時に呼吸や消化器に影響が出ます。高齢者や糖尿病による、神経障害などによって、無痛の患者もいます。これを無症候性心筋虚血と言います。

ポイント

  • 血液検査では白血球を始め、CK、トロポニンTなどの心筋障害マーカーが上昇します。
  • 心電図ではT波増高から始まり、ST上昇を認めます。異常Q波は、梗塞の範囲が大きいと、半永久的に残ります。
  • 発症した場合、採血や心電図などと並行し、初期治療を行います。覚え方は自由ですが、一般的には「MONA:モナー」と覚えましょう。

MONA

  • M:塩酸モルヒネです。痛みが強いと交感神経が働いて、血管が収縮したり頻脈になったり血圧が上がったりと、心臓に負担掛けるので塩酸モルヒネで鎮痛をします。血管を拡張する作用も持ち、更には医療用麻薬なので、取り扱いには十分注意しましょう。
  • O:酸素です。以前は全例で投与していましたが、昨今の研究では過度な酸素投与で死亡率が上がるとも報告されているので注意します。
  • N:硝酸薬です。ニトログリセリン製剤ですね。閉塞していると無効ですが、閉塞部位以外の側副血行路を広げたり冠攣縮を予防する働きもあります。側副血行路とは、道路で言う脇道みたいなものです。長い間血流が滞ると生体が脇道を作り始めます。
  • A:アスピリンです。抗血栓薬で早期に飲ませるほど死亡率が下がると報告されており、急性心筋梗塞では噛砕いて服用します。

*普段は噛砕かずに経口投与します。

PCI

PCI・冠動脈形成術

適応となる場合は、血栓溶解療法で血の塊を溶かします。PCI(冠動脈形成術)には種類が色々あります。血管を広げるPOBA(バルーン拡張術)、ステント留置、アテロームを取り除く方法などです。

ステント留置は、狭窄を予防する薬剤が染み出すタイプが主流です。カテーテル治療が難しい場合は、冠動脈バイパス術を考慮します。心筋梗塞は、梗塞部位で合併症なども変化します。

心拍数・脈拍数

穿刺は橈骨動脈、上腕動脈、大腿動脈などから行います。術後はバンドやベルト、止血用の硬い綿などで圧迫します。ヘパリンなども使用するので、出血や圧迫による痺れなどに注意しましょう。造影剤は腎臓に負担を掛けるので、尿量や輸液量なども確認します。

注意ポイント

右冠動脈領域に生じると、刺激伝導系が近いので房室ブロックや徐脈などが起き易くなります。左冠動脈領域では左心室に影響を及ぼし、不整脈、脚ブロック、心不全などが起き易いとされます。


今回は「心不全・虚血性心疾患」について解説しました。

まとめ

  • 簡単に言うと心不全は心臓を巡る血流の異常です
  • 虚血性心疾患は心臓を栄養する血流の異常です
  • お互いに干渉し、種々の原因によって引き起こされます

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