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【輸液療法】使い分けって?種類・目的・ポンプの使い方などを解説します<看護>

2020年9月7日

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

輸液の種類が多すぎて分からないよ!どんな役割なの?栄養になるの?

今回は、こんな声に応えていきます。

当記事で分かること

  • 輸液療法の基礎について
  • 輸液の種類や使い分け方について
  • 張度について
  • ポンプや輸液セットの素材について

輸液の目的とは

輸液

ポイント

  1. 水・電解質
  2. 栄養:糖質以外で3大栄養素となるのはアミノ酸製剤(蛋白質)脂肪乳剤になります。
  3. ルート:内訳として末梢静脈路中心静脈路骨髄穿刺路(小児)になります。「状態は良くなったけど、ちょっと心配だなあ・・・」、「少し様子を見たいなあ」なんて時は、急変時や増悪時に点滴を組み立てるのは介入が遅れてしまうので、ルート確保の目的で輸液を少量流して経過を見たりします。更に状態が良くなればロック→抜針となります。
  4. 治療:肝性脳症の治療や解毒薬、血圧コントロールなど疾患に応じて使います。

生体の水分量について

まず、輸液を理解する上で避けては通れない体液や電解質に関して。女性や肥満者などで脂肪が多い人は、水分量が減りますが、一般的には以下の通り。

ポイント

  • 小児:70-80%
  • 思春期以降:60%
  • 高齢者:50%
体内水分量
表① 細胞内液 細胞外液 細胞外液
細胞内液 組織間(間質) 血漿(血管)
比率 8 3 1
体重比 40% 15% 5%
張度 K⁺ Na⁺ Na⁺
細胞外液・細胞内液

水分調節に関わる電解質とは

体液量に関わる溶質の多くは、担当する区画の移動範囲が決まっています。水分の移動を起こすことで濃度を調整しています。上図の移動範囲は、張度としての範囲です。それぞれ細胞内にもNa⁺、細胞外にもK⁺は僅かですが含まれています。

ポイント

  • 細胞内液:言葉の通り、細胞の水分量です。カリウム(K)が多く、張度(後述)として作用しています(KCL1g≒13mEq)。
  • 細胞外液:血管内(血漿)や組織の間の水分を言います。ナトリウム(Na)が多く、張度として作用しています。塩分として摂取するとクロール(Cl)も付いてきます。(NaCl1g≒17mEq)

張度と浸透圧について

  • 血漿浸透圧(mOsm/L)=Nax2(mEq/L)+血糖値(mg/dL)/18(分子量)+BUN(mg/dL)/2.8(分子量) 正常値290程度
  • 血漿張度(mOsm/L)=Nax2(mEq/L)+血糖値(mg/dL)/18(分子量) 正常値270程度

*血糖値やBUNが高い人は、その分上昇します。

  • アルブミン:通常、血管壁を通れないので水を引き付けて水分を血漿に保持しようとします。この血管内外の力を膠質浸透圧と言います。膠質=コロイドのこと。敗血症などでは血管透過性が亢進して間質に漏れ出ます。
  • 毛細血管圧(静水圧):血管外に水を押し出す力を言いますが、血管の水分が増え過ぎると上昇して肺、胸、腹などに溜まります。正常時は互いの力が釣り合っています。

輸液療法の理解には張度が重要です!

細胞内外で、細胞の容積に影響を与える浸透圧を張度と言います。細胞膜で移動制限が掛かるNaとKが主な浸透圧物質となっています。細胞外のNaと細胞内のKの濃度は「≒」になっています。

ナトリウム・カリウム

バランスが崩れると?

張度が細胞外で高くなることを「高張」、低くなることを「低張」と言います。通常、食事や点滴などで電解質を摂取すると細胞外の濃度が変化するので、細胞外の張度の主となるナトリウムを考えます。

高張とは

血中ナトリウム濃度上昇

高張脱水

ナトリウム(↑)・原因

  1. 水分喪失
  2. 塩分過剰
  3. シフトなど

主に上記が挙げられますが、一番多いのは水分の喪失です。院内では薬剤や輸液などによって医原性に高くなることも起こり得ます。

遭難した時に海水を飲むと?

人間の体液の塩分濃度は0.9%です。

この状態を等張と言います。では海水は・・・?3.5%前後と、と~っても高張です。4倍ですね!後述する低ナトリウム血症の治療でも、もう少し低いです。

これを飲むと、消化管から吸収されて細胞外液のナトリウム濃度が上昇します。そして、細胞内液の水分を引っ張ってきます。細胞内液の水分が足りなくなって口喝中枢が働き、水分を欲します。無限ループです。体重は増えていくのに喉は潤わない状態になるのです。

観察のポイント

血中のナトリウム濃度、尿量や濃さ(比重)、口喝や頻脈などの症状を気にしてみましょう。

  • 脱水症状:倦怠感・血圧低下・心拍数増加・乾燥・尿量減少・高張尿など

治療

  • 高張脱水の場合は水分摂取をします。点滴だとナトリウムフリーの自由水「5%ブドウ糖液」を使います。一般的な脱水です。
  • 体液過剰も併発している場合は利尿剤と併用して、水分を補給しつつナトリウムを排泄させます。

低張とは

低ナトリウムの方が色々病態が絡み合ってて難しめです。

血中ナトリウム濃度下降

低張脱水

ナトリウム(↓)・原因

  1. 体液喪失+低張液摂取
  2. 水分過剰摂取
  3. 水分排泄障害など

注意ポイント

日常ではスポーツ+水道水(ナトリウム非含有)で起きることが多いです。精神的影響などで水を多く飲む水中毒などもよく見られますし、ホルモンや利尿薬などの影響でも生じます!

観察のポイント

ナトリウムが低くなってくると細胞(脳)が浮腫みます。130-135mEq/L辺りでも輸液や内服、食事などで補正していない場合は確認してみましょう。

  • 症状:頭痛・嘔気・痙攣など

治療

  • 神経症状を呈し重症例の場合は3%生理食塩水(高張液)を使用します。
  • 水分を排出させれば済む場合、水の制限や利尿薬を投与します。
  • 軽症の場合は等張液、食事や薬剤などの検討をします。

等張とは

ナトリウム(→)・原因

汗などは基本的に体液より低張(水>ナトリウム)なので、喪失すると血中のナトリウム濃度が高くなります。等張の体液が失われれば起こるので、体液そのものが喪失した場合です。

つまり、出血や熱傷などで体液そのものが喪失する場合になります。

輸液について

輸液

等張電解質輸液

≒電解質濃度

等張電解質輸液とは、血漿の電解質濃度と近く、自由水(5%ブドウ糖液)を含まない輸液を言います。細胞外液補充目的などに使われます。細胞外液:細胞内液=1:2の比率でしたが、その「1」の部分に補充されます。輸液のナトリウム濃度が生体に近いので、手に取った時に見ると分かります。

  • 0.9%生理食塩水:500mlで4.5gの塩分を含有していますが、それ以外はフリーなので病態把握までの初期輸液として使い勝手良し。

ポイント

リンゲル氏考案の輸液で、Na⁺やCl⁻以外のイオンを添加して調整しています。

種類

  • 乳酸リンゲル液:肝不全などでは代謝されないところがネックなところ。乳酸イオンは代謝されるとHCO3⁻に変化します。

>ソルラクト®、ハルトマン®、ラクテック®(G=糖含有)など

  • 酢酸リンゲル液:筋肉などの多くの臓器で代謝されるので使い勝手良し。

>ソルアセトF®(D=糖含有)、ヴィーンF®、ソリューゲンF®など

  • 重炭酸リンゲル液:HCO3⁻を添加しており、代謝性アシドーシスなどの人に効果が期待できます。

>ビカーボン®、ビカネイト®など

低張電解質輸液

<体液濃度

低張液は「蒸留水」のことを言います。臨床では薬剤の溶解に用いますが、単独で用いることは稀です。

混合液(低張電解質輸液)はそれぞれ生理食塩水を自由水(ブドウ糖液)で割っています。電解質が低いので、ブドウ糖で等張にしています。自由水が血漿:細胞間:細胞内=1:3:8、生理食塩水が細胞外液(血漿と組織間)に分布します。以下(生理食塩水:自由水)の比率で記載しています。

種類

  • 1号(開始)液:カリウム非含有の腎不全に特に使われる輸液です。割合は3:2と、生理食塩水を60%程度に割っています。
  • 2号(脱水補給)液:生理食塩水を70%(2:1)程度に割っています。
  • 3号(維持)液:生理食塩水を30%(1:2)に希釈している。一般的な成人では、2000mlの投与で1日の必要水分と電解質を補える。
  • 4号(術後回復)液:生理食塩水を20%(1:4)に希釈したもの。

>ソリタ®、ソルデム®など

血漿代用剤

血漿代用剤

高分子で血管内に留まる様製造されたもの。製品によっては、過剰投与(1L以上)で腎障害や凝固障害を起こす可能性も懸念されます。血漿にのみ留まるので、血漿:細胞間:細胞内=1:3:8でした。その「1」のところにのみ分布します。輸血も同じ分布です。

>ボルベン®、サリンヘス®、ヘスパンダー®など

その他・栄養など

ポイント

高カロリー輸液やアミノ酸製剤、脂肪乳剤などです。前述した輸液だけでは日常の全ての栄養素の補填は行えないので、経口摂取が難しい場合などに用います。

用途

どこが不足しているのか、何が不足しているのかを以下のデータを参考に解釈し、輸液を選択します。看護師は処方しないので、予測して準備したり、エラーを発見できるようになると良いですね。

ポイント

  • 細胞内脱水:自由水
  • 細胞外脱水:細胞外液補充液
  • 細胞内外脱水:混合液

注意ポイント

上記はざっくりとしたイメージです。後は、電解質の値や臓器不全などで投与可能か予測しましょう。

  • 水(体重・水分出納など)とナトリウムなどの検査値を見る。
  • 脱水症状や指標(IVC、CVP、輸液反応性、動脈圧波形、SV、下肢挙上など)を確認する。
  • 施設によって介入できる方法や程度は違うと思うので、可能な範囲で良いです。

輸液セットや輸液ポンプについて

PVC・DEHP

以前、点滴セットに使われていたことが多かったPVC:「ポリ塩化ビニル」とDEHP:「フタル酸ジ-2-エチルヘキシル」についてです。

注意ポイント

PVC素材は硬いので、柔軟にする目的でDEHPが添加される場合、DEHPが薬剤によっては悪影響を及ぼします。PVCは様々な医療器材に使われていますが、最近はフリーの点滴セットが主流です。

フィルター

中心静脈より投与する際に使われていますが、根拠としては弱く、明確には決まっていません。感染、微粒子、空気などの面で防波堤になり得ますが、薬剤の調整方法などでも汚染は変わってきます。

私の施設では側管の手前だけ、要は主となるボトルにしかフィルターの効果が効かなかったのですが、側管の先にもフィルターが付属している場合は要注意ですね。感染面で言うと、点滴交換の際はアルコール綿で強く3回以上拭いて乾かしましょう。ゴム栓のフィルムも滅菌は保証していないので、開封直後も必要です。

注意ポイント

輸血、脂肪乳剤(白色薬剤)、分子量の大きいグリセオールやインスリンなどは注意した方が良いと思います。

輸液ポンプ

ポイント

大量の輸液や微調整の必要が差ほど無い輸液を落とす際に使います。(誤差∓10%)

流量によって管を定期的に圧迫して送り出すので、持続と言っても実際はシリンジポンプの様にリアルタイムで送っている訳では無く、ある程度の停留時間が存在します。

注意ポイント

手落としの場合は静脈圧が高いと血液が逆流して凝固したり、機械で血液を脱血している際は、場合によっては空気が体内に流入していく可能性も考えられます。

シリンジポンプ

ポイント

新生児などを対象にしたり、微量投与が必要な薬剤を正確に注入するのに向いています。(誤差∓3%)

濃度にもよりますが、昇圧薬や降圧薬、鎮静薬、その他アンプルで販売されている薬剤(原液投与)やプレフィルドシリンジ(とても助かる充填済の薬剤)などはシリンジポンプでの投与が多いでしょう。

  • 重症患者だと数が多くて結構難しいですが、なるべく患者と同じ高さに設置します。サイフォニング現象と言って、定点と定点が水分で繋がると、高い方から低い方へ流れていきます。例えば、高いところの水槽にホースを突っ込んで息を吸い込むと一気に排出できます。
  • 延長チューブをシリンジなどに取り付ける場合は必ずしっかりと付けましょう。薬液漏れや空気の混入が起きている事例も見ます。
  • ポンプは手落としと併用すると逆流や空気の流入に繋がる危険性が出ます。
  • 押し子と窪み(スリット)にきちんとセットして、ポンプに表示されたシリンジサイズや気泡などを確認し、接続前にプライミング(早送り)をして液垂れを確認しましょう。

プライミング

必ず行いましょう。理由は以下の通りです。

  1. 延長チューブのクランプに気付ける
  2. 薬液投与の遅延を防げる(セットした段階では機械とシリンジに隙間が存在するので、流量によっては長時間投与されないです)
  3. 気泡に気付ける

特に重要な薬剤を投与している場合、例えば昇圧薬ではクランプや遅延により患者の状態によってはショックに陥ることも考えられます。それと交換時は可能な範囲で患者側に繋ぎ、空いているシリンジポンプでの準備がより安全です。以上を徹底すると、余程の高流量、重症患者で無い限りは併用交換せずとも血圧は安定しています。

豆知識:製品にもよると思いますが、テルモシリンジの停止(オレンジ)ボタンを押しながら流量調整をすると10ml/hrずつ動かせます。

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