
今回は、こんな声に応えていきます。
当記事で分かること
- 褥瘡とは
- 医療関連機器圧迫創傷について
- スキンテアとは
<Contents>
褥瘡(Pressure Ulcer)
一般の方には難しい漢字だと思いますが、褥瘡(ジョクソウ)、床(トコ)ずれと読みます。寝ている間に「自重」によって生じる皮膚の「キズ」のことです。
「褥創」とも書きますね。両者の違いを知りたい方は日本褥瘡学会に載っているので参照してください。褥瘡のセミナーやツールなどに関しても記載されています。
ポイント
健康な方は寝返りができると思いますが、病弱な方や昏睡状態又はそれに近い方は自力で寝返りを行えずに生じてしまいます。
皆さんも机の上で居眠りしたり、長時間座っていたりすると、その部分が赤くなりませんか?更に長時間圧迫されたままだと、血流障害が起きて「キズ」が生じます。摩擦・湿潤(蒸れ)・伸展(張力)・骨突出なども誘因になります。
褥瘡ガイドライン
ガイドライン(推奨度/根拠)などを踏まえて学習していく場合は、日本褥瘡学会が提示しているガイドラインは必須でしょう。私はルーチンで行われていた体位変換の間隔を変える時や、被覆材の使用方法などの勉強会などで活用しました。改革したい方は医学的根拠に則って提示することをオススメします。勿論、単に勉強目的でも良いですけどね^^
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好発部位
ポイント
一般的に最も多いのは仙骨部と呼ばれる腰骨の辺りの出っ張りです。体位でも変わってきます。
評価スケール
ポイント
- ブレーデンスケール:日常の患者の状態を6項目(知覚・湿潤・活動・可動性・栄養・摩擦)でスコアリングしてリスクアセスメントに用いる
- NPUAP分類:褥瘡の深さをステージⅠ~Ⅳ(+α)でアセスメントする
- DESIGN-R:D(深さ)・E(滲出液)・S(大きさ)・I(感染)・G(肉芽)・N(壊死)・P(ポケット)で評価します。小文字は軽症で大文字は重要となります。R(Rating)は評価の意味です。
MDRPU(医療関連機器圧迫創傷)

「Medical Device Related Pressure Ulser」の略です。急性期病棟では10~20%、小児病棟では50%も生じています。某成人領域の部署では、10%前後で推移していました。
何が違うの?
広義には褥瘡に含まれますが、狭義では「医療機器」で生じた創傷になります。狭義の「褥瘡」は、「自重」による創傷ですので、混同している人は覚えておきましょう。粘膜に生じた創傷は含めません。以下のリンクのPdfで閲覧できます。気に入れば、下記で紹介している書籍版を購入すると良いと思います。
好発部位
注意
ざっくりと経験的に多かった内容をPickupしています。
- シーネ装着部:特に小児で多いです
- マスク装着部:NPPVマスクなど、ある程度密閉性を保つ物で多いです
- 経鼻胃管:ゆとりを持たせずに鼻翼に固定すると、上方に当たって皮膚障害が起き易くなります
- 酸素カヌラ・マスク:耳介部に比較的多く発生します
- ES・IPC:下肢静脈血栓症予防の目的で装着する器材で起こります
- 膀胱留置カテーテル:昏睡状態の場合は大腿部辺りに当たっていると水泡形成を起こします
- テープ:テープは施設によって含めない場合もありますが、全患者共通して用いるので最もよく起こります
予防
ポイント
一般的には固定方法やクッションを用いることで大部分は改善できます。定期的に外せる場合は外して除圧しましょう!
テープに関しては「Ω固定」を行うことで皮膚との接着が無くなり、剥がす際は皮膚を片手で押さえながら取り除きましょう!リムーバー・皮膚保護材を施設が採用している場合は、上手に使うことで皮膚障害が激減します。
スキンテア
外力で皮膚が裂けてしまう皮膚障害です。画像の紫色部分を老人性紫斑と言って、元々脆弱で皮下出血を起こしています。外力によって結構簡単に裂けてしまうので注意したいところです。皮弁の処理の仕方などが重要ですので、下記リンクを参考にして購入すると良いと思います。
予防・治療について
褥瘡を始めとした皮膚障害の原因には、皮膚・栄養・自動運動・体位変換などが関わります。一般的に2時間毎の体位変換を行う様に習いますが、使用しているベッドや患者の状態で変わるので一概に言えず、褥瘡ガイドラインでは体圧分散寝具の使用時で4時間を超えない範囲で行うことを推奨しています。
但し、夜間は就寝している状況です。ルーチンで行うことはせずに、リスク状況を見極めてスモールチェンジなどでも大丈夫です。スモールチェンジとは寝具とベッドの間に小枕などを挿入する方法です。
スキンケアも重要で、皮膚を清潔に保って保湿クリームなどを塗布します。骨突出部位・踵部などには、予防的にポリウレタンフィルム又はポリウレタンフォームなどを装着する場合もあります。
ポイント
- 皮膚・骨突出・乾燥など
- 栄養状態・食事摂取量など
- 体圧分散寝具のタイプなど
- ADL・PS・自動運動など
- 薬剤(鎮静・循環作動薬など)
- その他医療器材・関連因子など
治療
褥瘡が起きた場合には、DESIGN-Rなどで評価します。予防方法と並行して、壊死している場合は細菌の増殖で感染症の危険性が高まるのでデブリードマン(外科的壊死組織除去)を行います。その他、軟膏・被覆材を上手く組み合わせて創傷の収縮・閉鎖を目指します。
