
・覚え方は?
・症状とか教えて!
今回は、こんな声に応えていきます。
この記事は看護学生・新卒看護師は勿論、未経験領域に臨む臨床看護師にも通ずる基礎内容ですので参考にどうぞ!筆者の経験以外に専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。 国家試験範囲ですので、学科試験内容にも含まれます。国家試験合格率は全国平均で90%程度です。単位を落とすと学費が余計に掛かってしまいます。 この記事は国家試験範囲(+α)程度の内容に絞って、突っ込んだ内容はなるべく別記事でしています。是非参考にして「単位取得」・「合格」に役立ててくださいね。
本記事の内容について
・TOF(ファロー四徴症)
・PDA(動脈管開存症)
・TGA(完全大血管転位症)
1.ファロー四徴症(TOF:Tetralogy Of Fallot)
以下の四徴を呈した疾患です。2歳以上のチアノーゼでは、大半を占めます。
・VSD(心室中隔欠損)
・大動脈騎乗
・肺動脈狭窄
・右室肥大
>四徴
ポイント
大動脈が心室中隔に乗っかっているので、VSDを呈します。Kirklinの分類のⅡ型が多く、時にⅠ型のVSD(右→左シャント)を認めます。また、肺動脈に寄っているので肺動脈狭窄も生じます。これにより肺高血圧となり、肺動脈に血流を押し込む為に代償的に右室が肥大します。
重症度や形態異常は幅広く、肺動脈閉鎖となる例も見られます。肺動脈弁は通常三尖弁ですが、二尖弁になっていることも多いです。ダウン症ではASD・AVSDを伴うことが、よく見られると報告されています。
1年生存率:64%、10年生存率:23%
>検査・症状
検査
胸部レントゲン(木靴型心陰影)・心エコー・心臓カテーテル検査など
症状
チアノーゼ・多呼吸・哺乳不良・頻脈・ばち指・無酸素発作・感染性心内膜炎など
無酸素発作(チアノーゼ発作・低酸素発作):3ヶ月頃より啼泣・哺乳・排便などを切っ掛けにしてチアノーゼが生じ、失神を起こしたり、最悪死に至ります。15~60分程度続き、幼児になると蹲踞の姿勢になります。
啼泣や哺乳時などには注意します。
対症療法
無酸素発作時:鎮静・酸素・蹲踞など
>重症ではβ遮断薬
*β刺激薬・ジギタリスは禁忌
>治療・手術
姑息手術
Blalock-Taussig(ブラロックータウシグ)手術:鎖骨下動脈と肺動脈の間などに人工的な通り道を作って肺血流を改善します。
姑息手術とは、根治までの間に一時的に行う治療のことです。
根治手術
心内修復術:2~5歳までに行います。肺動脈狭窄の解除とVSDの閉鎖を施します。
2.動脈管開存症(PDA:Patent Ductus Arteriosus)
通常は遺残物となる動脈管が残ってしまったことで、動脈→静脈への左→右シャントが生じています。女性に多く、自然閉鎖率は低いと報告されています。肺血流量が増えることで、左房・左室・上行大動脈に容量負荷が生じて拡大します。拡張期血圧は肺動脈に戻ることで下降し、脈圧の増大や速脈を認めます。
以下の項目と関係しています。
・低出生体重児
・早産
・酸素濃度
・風疹感染
>検査・症状・治療
検査
心エコー・心臓カテーテル検査など
症状
拡張期血圧下降・脈圧増大・速脈など
治療・手術
・インドメタシン:動脈管が細い場合は収縮作用により閉鎖が期待できる
・外科手術:切断、結紮術など
・カテーテル塞栓術
3.完全大血管転位症(TGA:Transposition of the Great Arteries)
肺動脈と大動脈が完全に逆に繋がってしまった疾患です。出生時にチアノーゼを呈し、早急に手術を行います。新生児期のチアノーゼでは最も多い疾患とされています。
Ⅰ型は静脈血が体循環に流れ、動脈血が肺循環に流れます。Ⅱ型は更にVSDを併発します。Ⅲ型はVSDと肺動脈狭窄を伴いますが、自然予後は最も良いです。
>検査・症状・治療
検査
心エコー・心臓カテーテル検査など
症状
チアノーゼ・呼吸困難など
手術
・【姑息手術】BAS(バルーン心房中隔裂開術):中隔を開大して右心房に動脈血を流します
・【Ⅰ・Ⅱ型】Jatene(ジャテン)手術:大動脈と肺動脈を切断して入れ替え、吻合します(+中隔欠損閉鎖)
・【Ⅲ型】Rastelli(ラステリ)手術:右室を切り開いて心室中隔欠損に人工血管を用いて大動脈を繋げ(心内導管)、切り開いた右室より肺動脈へ人工弁付の人工血管を繋げます(心外導管)
>切断した肺動脈は閉鎖します
今回は「ファロー四徴症」、「動脈開存症」、「完全大血管転位症」について解説しました。
まとめ
・四徴は心室中隔に大動脈が肺動脈寄りに乗っていると覚えよう!大動脈騎乗>心室中隔欠損+肺動脈狭窄>右室肥大(結果的になる)
・無酸素発作は右→左シャントを誘発するので危険!可能なら落ち着かせたり、蹲踞姿勢を取らせよう。
・動脈管開存症はでは拡張期血圧が下がり、速脈や脈圧の上昇を認めます。
・完全大血管転位症は新生児チアノーゼで一番多い疾患です。
参考:成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017 年改訂版)

お勧めの記事などを以下に貼っています。疑問、質問、要望などは「Mail」又は「Twitter@liberal_nurse」のDMまでお気軽にどうぞ^^v
-
-
<国家試験対策>
2021.2.14 看護師国家試験まで 日 独りで学習していると、疑問に思って立ち止まってしまう事も多いのでは?各領域の試験範囲を、分かり易く画像などを絡めて解説していくので、「合格」に役立ててくだ ...
続きを見る
-
-
<学生・参考書一覧>
目次 実習・記録関連図国家試験 実習・記録 関連図 国家試験 リンク リンク リンク
続きを見る
お勧めの厳選書籍は「コチラ」です。専門書は高いので、ちょっとした質問などは「Mail」又は「Twitter@liberal_nurse」のDMまでお気軽にどうぞ^^v