
今回は、こんな声に応えていきます。
ポイント
弁膜症は解剖がイメージ出来ないと難しいので、解剖も勉強すると良いと思います。画像も踏まえるので、この記事を読めば何となくイメージが出来る様になると思います。
この記事は看護学生・看護師は勿論、その他の医療学生・関係者にも通ずる基礎内容です。専門書やガイドラインなどでデータや事実を確認してから執筆しています。学科試験・国家試験・予習復習などに役立ててください!
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当記事で分かること
- 僧帽弁と大動脈弁について
- 狭窄症(Stenosis)と閉鎖不全症(Regurgitation)について
- リウマチ熱と感染性心内膜炎とは
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<Contents>
僧帽弁狭窄症(MS)
女性に多く、「リウマチ熱」を原因として発症しますが、近年は減少傾向と報告されています。
左房と左室の間に存在する「僧帽弁」が狭窄し、拡張期に左室への血液の流入が障害されている状態です。図の通り、左室への流入障害で左房に負荷が掛かり、右心不全へと進行していきます。
リウマチ熱
リウマチ熱
扁桃炎の原因ともなる「A群β溶連菌」の感染で生じる「膠原病」の1種でした。現在は原因が判明し、「膠原病」として扱われないようです。若年者に多く、発熱、関節炎、皮下結節、舞踏病(顔・四肢の不随意運動)などを主に、心臓弁(特に僧帽弁)にも影響が及びます。
検査・症状・治療
検査
心エコーを行います。聴診では「I音亢進」、「僧帽弁開放音」、「拡張期雑音」が聴取されます。
症状・治療
肺鬱血症状、左房負荷による心房細動及び塞栓症、右心不全症状などが生じるので、それに合わせた内科的治療を行います。
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手術
侵襲的治療(手術)
- PTMC(経皮的僧帽弁交連切開術)
- MVR(僧帽弁置換術)
- OMC(直視下僧帽弁交連切開術)
生体弁・機械弁
僧帽弁閉鎖不全症(MR)
主な原因は僧房弁を支える「腱索・乳頭筋断裂」、「感染性心内膜炎」、「弁輪部拡大」などです。「僧帽弁」の閉鎖不全により、収縮期に左室の血液が左房に逆流します。
図の通り、左房に戻ることで「左房負荷」、左室の血液が減少することで「心拍出量低下」となります。また、左房に戻った血液が再度左室に流入するので、左室負荷も掛かります。
感染性心内膜炎
感染性心内膜炎
多くは先天性疾患や弁膜症などによるジェット(乱流)で弁が傷付き、そこに菌が付着して疣贅を形成することで生じます。抜歯や侵襲的処置などで菌が入り込むので、抜歯後の抗生物質はきちんと服薬しましょう!
検査は心エコー、血液培養(x3)による原因菌の特定で、治療はペニシリンなどの抗生物質を投与します。
- 皮膚常在菌:黄色ブドウ球菌
- 口腔常在菌:緑色レンサ球菌
検査・症状・治療
検査
- 心エコー
- 左室造影検査など
症状・治療
呼吸困難、浮腫、疲労感などの左心不全・右心不全に関連した症状などが生じるので、それに合わせた内科的治療を行います。
手術
手術
ざっくり言うと、弁輪は弁周囲の円になった輪っかです。弁尖が弁そのものになります。
- MVP(僧帽弁形成術):Mitral Valve Plasty
- MAP(僧房弁輪形成術):Mitaral Annulo Plasty
- MVR(僧帽弁置換術):Mitral Valve Replacement
外来フォロー
- 重症:6ヶ月~1年/回
- 中等症:1~2年/回
大動脈弁狭窄症(AS)
主な原因は「加齢」(80%以上)で、動脈硬化に起因します。「リウマチ熱」によるASは減少してきています。「大動脈弁」の狭窄により、収縮期に左室から大動脈への駆出障害が起きます。
検査・症状・治療
検査
心エコー・心臓カテーテル検査(収縮期左室圧>大動脈圧)など
症状・治療
代償による無症状が多く、呼吸困難などの左心不全、血流低下による狭心痛、失神や遅脈、小脈などを呈すと予後不良になります。
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手術
手術
- TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術:Transcatheter Aortic Valve Implantation):TAVIは2013年に認可された比較的新しい治療法です。
- AVR(大動脈弁置換術:[Surgical] Aortic Valve Replacement)
ASでは高血圧に注意しよう!
高血圧
- 虚血性心血管イベント:56%増加
- 死亡率2倍
大動脈弁閉鎖不全症(AR)
主な原因は、「リウマチ熱」、「大動脈炎症候群」、「マルファン症候群」、「梅毒」などです。「大動脈弁」の閉鎖不全により、大動脈より左心室に血液が逆流します。
検査・症状・治療
検査
心エコー・心臓カテーテル検査など
症状・治療
左室容量負荷による心肥大などが生じ、呼吸困難などの左心不全、血流低下による狭心痛、失神などを呈します。ASとは違って左室に戻った血液を一気に押し出すことで速脈、大脈が出現します。
手術
手術
- AVR(大動脈弁置換術):(Surgical) Aortic Valve Replacement
- AVP(大動脈弁形成術):Aortic Valve Plasty
今回は、「心臓弁膜症」の大動脈弁と僧帽弁を主に解説しました。
まとめ
- リウマチ熱が原因として多いですが、先進国では減少傾向です
- 心房細動と塞栓症(+疣贅)に注意しよう!
- 左心不全、両心不全、脈拍も押さえよう!
- 感染性心内膜炎にも関連性有り(虫歯危険!)
- 画像でイメージしよう!
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