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【洗浄・湿潤】今と昔で違う?擦り傷を適切な処置で早く治す方法を解説します

2020年9月6日

集中治療室で10年以上働き、ブログを起点に医療情報やお役立ち情報を発信しています。医療学生・新卒看護師向けに分かり易く解説するコンテンツも制作しています!国家試験に合格したのに臨床で上手く使えない…と思っている人は結構多いです。折角学習するのに臨床で活かせないのは勿体無いです。効率的・体系的に学びつつ臨床に活かしましょう!

傷って消毒した方が良いの?

今回は、こんな声に応えていきます。

当記事で分かること

  • 日常の傷について
  • 臨床や日常での適切な処置について

創傷とは

傷は、医療現場では創傷(ソウショウ)、創(ソウ)など色々な呼ばれ方をします。細かく医学的に言うと、「創」は表面、「傷」は内部のキズを言います。ごちゃ混ぜになっている事も多いですけどね(笑

今回は子どもが日常的に持ち帰ってくる「擦過傷」(サッカショウ)を主に解説していきます。一般的に言う「擦り傷」ですね。

昔の治療について

ポイント

今の時代は「感染」で命を落とすことが非常に多いので、消毒や乾燥によって感染の抑制をしようとしていた背景も感じます。

消毒

昔は真っ赤な消毒を塗ったり、傷口にピューっと透明な液体を撒いたりしていましたね。細菌に効く反面、「細胞毒性」と言って、組織を修復する過程の細胞増殖などを阻止する作用によって、傷の治りに悪影響を及ぼします。

乾燥

20年程度前は、ドライヤーで乾燥させていたそうです。水分の多いところに細菌は増殖してしまうので、これも「感染」を恐れていた側面も伺えます。

ガーゼ

そして最後にガーゼや、その類のモノで傷を覆います。

これで仮に傷口から体液【滲出液(シンシュツエキ)】が出てきても吸い込んで乾燥したままになります。

弊害

・消毒(特にアルコール)で痛む

・露出された傷が刺激されたり、「かさぶた」が剥がれて痛む

・ガーゼなどが固着し、取り除くことで痛む

・乾燥によって体液が上手く機能せず、治りが遅れる

・「かさぶた」や刺激などによって皮膚に凹凸ができ、傷跡になる

現在の治療について

現在は適度に潤す方法です。

洗浄

一般的な「擦り傷」を負った場合、

  1. 流水(水道水)や石鹸で洗浄する
  2. 血が出ている場合は止血(軽く圧迫して)する
  3. 石鹸は固形だと細菌が付着している可能性が高いので、ボトルタイプを使います。無ければ綺麗な固形石鹸又は流水のみでも大丈夫です。泡立てた方が洗浄効果が高いです。
  4. 止血が難しかったり、異物(砂・土など)が入って取り除けない場合は救急車を呼びましょう

湿潤療法

「擦り傷」などの組織から水分(体液)が出てくる傷は、程良く潤いを与えると治り易いです。体液に傷を治す物質が含まれています。体液が過剰だと、(風呂で指がふやける様に)周りが柔らかくなり、組織が傷付き易くなります。傷をそのままにしたり普通の絆創膏をすると、乾燥してしまいます。

今は特殊な絆創膏(ハイドロコロイド)がドラッグストアなどでも売られるようになっており、小さな傷から出る体液程度ならカバーしてくれます。ジョンソンエンドジョンソンなどは医療用材料も多くて有名ですね。

体液が漏れ出てきそうなら、一度洗って貼り治しましょう。適度に湿潤させて治すと、「かさぶた」も形成されずに綺麗に治ります。幼い子どもは見ると剥がしたり触ったりするので、なるべく「かさぶた」は無くしたいところです。

既に「かさぶた」が形成された場合は遅いので、何も貼らずにそのまま治癒させましょう。もし剥がれて体液が出る場合は貼りましょう。

メリット

・洗浄の際に多少痛むが、それ以外では保護材により痛みは少なめ

・温めの湯や、臨床は生理食塩水で洗っても良し

・体液の影響や外部からの刺激に守られることで治りが早まる

・保護材により刺激や乾燥などが軽減され、傷の凹凸が少なくなり、平らでピンク色の綺麗な皮膚になる

感染について

4大徴候が傷周りの「熱感(熱さ)」、「発赤(赤み)」、「疼痛(痛み)」、「腫脹(はれ)」です。

「膿(うみ)」などは傷口の感染の可能性が高いので、これらが続く場合は病院に行きましょう。


今回は傷の適切な処置について解説しました。綺麗に治して、なるべく痛みを減らして残さない様にしましょう^^

まとめ

  • 擦り傷は消毒せずに、流水と石鹸で洗浄します
  • 血液は軽く圧迫して止めましょう
  • 保湿性を備えた絆創膏で覆って乾燥を防ぎます
  • 頻繁に剥がさず、汚染が無ければ1日1回の洗浄で十分です

注意ポイント

こんな時は病院に行きましょう!

  • 継続した出血や異物が混在する
  • 膿や臭いが強かったり、何日も続いている

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